連載
“5つ星”の見返りとは? コロナ禍で再び注目される「やらせレビュー」の実態:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
アマゾンなどのECサイトや飲食店情報サイトなどで「やらせレビュー」が問題になって久しい。コロナ禍でECを利用する人も増える中、アマゾンがやらせレビューを大量に削除したことも話題に。消費者をだますレビューはどのような手口で投稿されているのか。
レビュー2万件削除、やらせの手口とは
アマゾンは9月4日、英国でトップ10レビュアーらによって投稿されたレビューを2万件削除した。10人のうち7人は、レビューする商品を無料で受け取ったり、レビューの謝礼を受けたりしていたとして、過去のレビューも削除された。ほとんどの商品は、小規模な中国企業のもので、レビューではどれも5つ星が付けられていた。
その中の1人は、これまで1万5000ポンド(約210万円)相当の商品を受け取っており、レビューを終えた商品はオンライン・マーケットプレイス「eBay(イーベイ)」で転売。結局、2万ポンド(約280万円)を稼いだと報じられている。
日本の公正取引委員会に当たる英国の競争・市場機関(CMA)は、レビューが購買行為に与える影響は、年間230億ポンド(約3兆円)にもなると試算している。また多くのアマゾンユーザーが、値段や送料に次いでレビューを購入の参考にしているとの調査結果もある。
そこにやらせレビューもかなりの影響を与える。オンラインなどで売られている全ての商品のレビューのうち、58%にやらせが含まれているとの調査結果もあるくらいだ。
今、コロナ禍でオンラインショッピングが増えており、米国では前年の同時期から57%も購入者が増えている。そしてそれに伴い、レビューの数も前年比で76%も増加しているという。
関連記事
- 日本でも堂々リクルート 中国の“人材狩り”に切り込んだ、豪レポートの中身
オーストラリア発で、中国の“優秀人材狩り”に関するレポートが公開された。世界中に拠点を構え、あの手この手で先進分野の人材を協力者にしている。日本でもリクルートイベントなどを開催している。知財などの搾取を止めるため、法規制や危機管理を徹底すべきだ。 - データも人材もファーウェイに流出? 倒産するまで盗み尽くされた大企業に見る、中国の“荒技”
2009年に倒産したカナダの大手IT企業が、中国から継続的なサイバー攻撃を受けていたことが報じられた。ファーウェイなどに情報や人材が流出したと見られている。コロナ禍で体力が弱った日本企業も標的になっており、すでに工作が始まっていても不思議ではない。 - 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。 - 「家でペットと過ごす」需要が急拡大 コロナ禍で加速する“品薄”の背景
コロナ禍で世界的にペット需要が拡大している。日本のペットショップでは、犬猫が品薄に。価格も高騰している。近年、子犬や子猫をむやみに量産することを規制する動きが進んだ事情もある。経済停滞が続けば、世話できなくなる人が続出する懸念も出てくる。 - まだまだ世界で人気? いまだに「FAX」を使い続けるワケ
新型コロナに関する保健所の対応で注目されたのが、今でもファクスを使っている実態だ。しかし、米国や欧州でもまだまだ現役で使われている。コストやビジネス文化などの理由でファクスが使いやすいという声も根強い。まだしばらく、なくなることはなさそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.