“5つ星”の見返りとは? コロナ禍で再び注目される「やらせレビュー」の実態:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
アマゾンなどのECサイトや飲食店情報サイトなどで「やらせレビュー」が問題になって久しい。コロナ禍でECを利用する人も増える中、アマゾンがやらせレビューを大量に削除したことも話題に。消費者をだますレビューはどのような手口で投稿されているのか。
やらせレビューを巡る攻防
やらせレビューを投稿する人たちは、SNSやメッセージングアプリを駆使して、欲しい商品を選んで業者などとつながってレビューするほか、メーカー側が5つ星のやらせレビューを投稿してくれるレビュアーを探すこともある。そこに業者が絡んでいるケースも少なくない。そして、無料で商品を受け取ったり、金銭を受け取ったりしてレビューする。ただこうした行為は、例えばアマゾンでは禁止行為だ。
また、米UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)とUSC(南カリフォルニア大学)が公開した最新の研究調査によれば、Facebookには少なくとも23のやらせレビュー関連グループが存在し、それぞれのグループの平均メンバー数は1万6000人にも及ぶ。そしてこれらのグループに、毎日568件ほどの依頼がアップされているという。レビューの見返りとして商品購入額を全額返金したり、6ドルほどの支払いが行われたりしている。
誤解がないように言っておくが、アマゾンなどのレビューは基本的には信用できるものがほとんどだろう。だが、なかにはユーザーをだますようなたちの悪いものが紛れ込んでいるのも事実。これはアマゾンなどのECサイトにとっても非常に厄介な問題となっている。
アマゾンもこの問題を放置しているわけではない。毎週1000万件のレビューの投稿があるが、投稿されてから公開されるまでに、常に「分析」の過程を介しているという。アマゾンのレビューに関する規約に違反するユーザーには、アカウントの停止や禁止、時には法的措置も取るらしい。
やらせと戦っているのはアマゾンだけではない。米連邦取引委員会(FTC)は、2019年から、サプリメーカーや化粧品メーカーがやらせレビューを行っているとして訴えを起こして、レビューをやめさせている。サプリのケースでは、間にやらせレビューを商売にしている業者が入っており、罰金が科された。
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