“5つ星”の見返りとは? コロナ禍で再び注目される「やらせレビュー」の実態:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
アマゾンなどのECサイトや飲食店情報サイトなどで「やらせレビュー」が問題になって久しい。コロナ禍でECを利用する人も増える中、アマゾンがやらせレビューを大量に削除したことも話題に。消費者をだますレビューはどのような手口で投稿されているのか。
やらせレビューを調べられるサービスも登場
そもそも、今となっては日本人でも、極端に数が多いレビューや高評価があふれるレビューのほうが「なんだか怪しい」という感覚を持つようになっている人も少なくないのではないだろうか。人によって使途や期待値、価値観も違うのに、何千人もの人が短期間で一斉に5つ星の評価をする商品は慎重にレビューを見る必要があるかもしれない。商品そのものの評価以上に、何か別の思惑がある可能性もある。
やらせレビューの問題は、単に競争の中で商品が正当に評価されないだけでなく、商品の欠陥が隠されたり、質が悪く危険な商品が世に出回ってしまう可能性があることだ。子ども向けの商品などならその悪影響は甚大である。
そして今、そんなやらせレビューを調べることができるサービスも海外では登場している。例えば、米国の「FAKESPOT」。ブラウザに機能拡張でインストールでき、インストールすると、アクセスした商品ページのレビューを調べてそれがやらせでないかどうかを判定する。「FAKESPOT」の創業者であるサウード・カーリファCEOは、不正行為を行う人がいるせいで、現在のアマゾンのレビューのシステムは「壊れている」と断言する。ちなみに「FAKESPOT」のGoogle Playでの評価は、5つ星のうち3.2。App Storeでは3.4である。これには、やらせは混じっていないだろう。
このサービスは現在は英語のみだが、いずれ日本でもこういうサービスが必要になるかもしれない。
日本では一時期に比べてあまり話題にならなくなったやらせレビューだが、その深刻さは悪化している。もう一度、対策を強化する必要がありそうだ。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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