画面上の「上座」に悩む前に “無言”も武器になる、コミュニケーションの本質:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)
Web会議システムの「Zoom」で参加者の表示を並べ替える新機能が加わり、“上座”指定ができると話題になった。それほどリアルの世界で上座問題を気にする人が多いということだ。コミュニケーションで大事なことはWebでも同じ。その基本的なポイントとは……
思わず失笑してしまうニュースが飛び込んできました。
新型コロナ感染拡大以降、頻繁に使われるようになったWeb会議システム「Zoom」に、“上座”指定が可能になる機能が加わったというのです。
新機能の名前は「カスタムギャラリービュー」。会議に参加する人の画面を必要に応じて並び替えることが可能で、「〇〇部長はここ!」「△さんはプレゼン担当だからこっち!」といった具合に、役職者を画面の上座に固定したり、責任者を目立つように配置したりできるそうです。
まぁ、会議の主役となる人を目立つ場所に固定できるのはいいことだと思いますが、Zoom側に「上座・下座」という認識があったとは、到底思えません(もし、あったなら失礼!)。
しかしながら、新機能が報道されるや否や、SNSでは「間違ったらヤバくね?」「上座ってどこなんだよ!」「つーか、こんなのできると『Web会議のマナーを守りましょう!』とか、うざいこと言い出す人が出てきそう」など、“ネット上座”に関するコメントが殺到したのです。
なるほど。裏を返せば、リアル世界で「上座問題」は結構センシティブな問題ってことなのでしょう。
確かに、私自身、講演会に呼ばれて役員と同じ控え室に通された時など、「あれ? どっちに座ればいいんだっけ?」と悩むこともしばしば。世の中には、たとえ相手が「ゲスト」であっても、「自分より上」に座る若手や女性を面白く思わない人もいますから。はい、気を遣うわけです。
とはいえ、こちらが「どうぞどうぞ」と頭を下げることで、相手が少しでも気持ちよくなってくれれば、それはそれでオッケー。だって、その方が確実にファーストインプレッションは良くなりますし、そのあとのコミュニケーションもうまくいきます。
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