単なる“ワーク”と化す? 「ワーケーション」普及が幻想でしかない理由:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)
旅先で仕事をするワーケーションについて、政府が普及に取り組む考えを示した。しかし、休暇中でも休まらないという問題があるほか、対応できるのはごく一部の企業。テレワークさえできていない企業も多い。IT環境整備をするなら、日常の生活圏を優先させるべきだ。
またもや“新語”が登場してしまいました。
ワーケーション――。「WORK(ワーク)」と「VACATION(バケーション)」を組み合わせた造語で、2000年代に米国で生まれたとされています。
テレワークをやめる企業が相次ぐ中で、菅官房長官は観光戦略実行推進会議で「ワーケーション」に言及。「リゾート地、また温泉地などで余暇を楽しみつつ仕事をするワーケーション、サテライトオフィスなどは新しい旅行や働き方のスタイルとして政府としても普及に取り組んでいきたい」(by 菅官房長官)
まぁ、何がなんでも「GO TO トラベル!」ということなのでしょうけど、実効性のある政策とは到底思えません。
観光業が厳しい状況にあることは、十分理解できます。しかし、「まず国内観光を安心して楽しんでもらう環境をつくることが必要だ」といいますが、「明日どう生きればいいのか?」と不安が立ち込める今の日本社会で、いったいどれだけの人たちが、「リゾート地などで余暇を楽しみながら、テレワークなどを活用して仕事をするスタイル=ワーケーション」をする余裕があるのでしょうか。
ワーケーションを定着させるために、観光庁はホテルや旅館のWi-Fi整備支援や宿泊施設の改装などを相談できるアドバイザーの派遣を検討するとのことですが、失業者や倒産する企業が急増する状況下で、“ソコ”に多額な税金を投入することが、本当に重要なのか?
そんなことに金を使うくらいだったら、ホテルや旅館、全ての飲食店の人たちに定期的にPCR検査を徹底して行い、「営業しても大丈夫だね」「遊びに行っても大丈夫だね」という安心のために血税を使った方がいい。そう思えてなりません。
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