JR東が抱く“未来への危機感” 終電繰り上げ・定期券値上げ検討の背景とは?:ライフスタイルの変化に対応(3/4 ページ)
JR東日本が終電時刻を繰り上げることを発表して話題になった。コロナ禍で深夜の利用者が減り、ライフスタイルの変化は元に戻らないと同社は見ている。定期券サービスの見直しも含めて、鉄道の未来への危機感が現れている。
工事の時間帯を増やしたい
以前、JR西日本が終電の繰り上げを行う方針を示した。コロナ禍の前である。利用者が減る一方で、深夜のメンテナンス工事の人手が足りず、人を増やせないので時間を増やす、という狙いが背景にある。
JR東日本も同じ理由を示した。作業員の減少が見込まれる一方で、設備の老朽化などに伴い工事量が増加、作業効率が悪化しているという。保守量の削減や作業効率の改善などにも取り組んでいるものの、作業時間が短いという問題がある。
そこで終電を繰り上げ、一部では初電を繰り下げて工事時間を確保することにした。これまで、列車間合いが200分〜240分だったものが、240分〜270分程度となり、実作業の時間も伸びることになった。
この終電繰り上げは、東京100キロ圏で行われる。終着駅の到着時刻を午前1時頃にする。例えば、中央快速線の最終高尾行は1時22分に終点に到着している。この列車は0時15分東京発、0時30分新宿着である。現行のダイヤで考えると、0時東京発、0時15分新宿発の中央特快で、0時58分に高尾に着く列車が最終になる。ただ、30分程度繰り上げるという条件を加味すれば、0時45分高尾着の中央特快となる。この列車は23時45分東京発、0時新宿発である。
もっとも、遅い時間帯は各駅に停車する列車となり、ある程度はダイヤを調整することになると考えられる。特別快速と快速などがあるような路線では、遅い時間帯の特別快速を快速に、ということもあると思われる。一方で、各駅停車しかない路線では、その列車をそのまま削減する、というダイヤにすることもあるだろう。金曜日などは必要に応じて終電前の臨時列車の増発も行うという。
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