コラム
JR東が抱く“未来への危機感” 終電繰り上げ・定期券値上げ検討の背景とは?:ライフスタイルの変化に対応(2/4 ページ)
JR東日本が終電時刻を繰り上げることを発表して話題になった。コロナ禍で深夜の利用者が減り、ライフスタイルの変化は元に戻らないと同社は見ている。定期券サービスの見直しも含めて、鉄道の未来への危機感が現れている。
他の鉄道事業者に比べても遅いJR東日本の終電
そもそも、他の鉄道事業者に比べてもJR東日本の終電は遅い。例えば、新宿発の中央快速線では、平日は高尾行0時30分、八王子行0時40分、武蔵小金井行0時50分となっている。緩行線には1時1分発三鷹行の列車がある。
一方、新宿発で並行する京王電鉄では、京王八王子行特急が0時34分と意外と遅いものの、停車駅は少ない。その後にあるのは0時35分発の調布行各駅停車と、0時41分と0時55分発の新線新宿発桜上水行各駅停車しかない。高尾までたどりつくには、最終は0時21分発の準特急京王八王子行、北野で各駅停車に乗り換えとなる。
小田急電鉄の場合、0時38分発相模大野行急行以降は、0時39分発向ヶ丘遊園行各駅停車、0時53分発経堂行各駅停車しかない。
私鉄の最終の列車の運行距離はJR東日本よりも短く、深夜帯の列車の本数も少ない。さらに、列車が減り始める時間帯がJRよりも早いという傾向がある。JR東日本は私鉄に比べて、遅い時間帯まで高密度で運行し、利用者へのサービスに努めてきた。
そのために、深夜帯のメンテナンスなどに割く時間が少ないという状況が続いている。
関連記事
- リモートワーク普及で迫りくる「通勤定期券」が終わる日
大手企業などがテレワークの本格導入を進める中で、通勤定期代の支給をやめる動きも目立つ。鉄道会社にとっては、通勤定期の割引率引き下げや廃止すら視野に入ってくる。通勤に伴う鉄道需要縮小は以前から予想されていた。通勤しない時代への準備はもう始まっている。 - 結局、首都圏の鉄道利用者はどのくらい減ったのか
新型コロナウイルスの感染拡大によって、鉄道利用者が大幅に減った。首都圏の利用者数はどのくらい減ったのか。また減ったことで、未来の鉄道事業はどうなるのか。 - 新宿駅東西自由通路の開通で、どんな未来が待っているのか
「新宿駅は複雑で、迷いやすい」といった不満を感じていた人も多いのでは。そんな不満を解消するかのように「東西自由通路」が開通した。どのように変わったのかというと……。 - 車内やベンチでまだ仕事? 首都圏の駅にシェアオフィスが続々
カバンの中にはPCを入れていて、いつでも仕事ができるようにしている――。このようなビジネスパーソンも多いかと思うが、鉄道会社もそんな人たちに向けてサービスを整備している。例えば、首都圏の主要駅にシェアオフィスが増えていて……。 - 首都圏の鉄道会社、決算はどうだった? 新型コロナの影響でこれからは
首都圏の鉄道会社が決算を発表し始めた。発表したのは、JR東日本、京王電鉄、東武鉄道、京成電鉄、相鉄ホールディングス。決算の内容は、やはり……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.