飲食業の倒産、1〜8月で583件 居酒屋や専門店で増加、年間で過去最多となる可能性も:コロナ禍で厳しい環境続く
東京商工リサーチによると、2020年1〜8月の飲食業の倒産件数は前年同期比13.2%増の583件に達した。新型コロナウイルス感染拡大による売り上げ不振などの影響が大きく、通年では2011年の800件を超えて最多となる可能性もある。
東京商工リサーチは9月14日、2020年1〜8月の飲食業の倒産件数が前年同期比13.2%増の583件に達したと発表した。新型コロナウイルス感染拡大による売り上げ不振などの影響が大きく、通年では2011年の800件を超えて最多となる可能性もある。先行きが不透明な中、特に小規模事業者にとっては厳しい事業環境が長引きそうだ。
飲食業では、19年後半から20年2月までは人手不足に伴う人件費増加によって倒産が増加傾向にあった。2月以降は新型コロナによって状況が一変。インバウンド需要が消えたことや外出自粛、休業要請などが大きな打撃となった。倒産件数は、3月75件(前年同月は59件)、4月80件(同62件)と増加。5月は裁判所の一部業務縮小などで21件に減少したが、その後、6月は98件、7月は93件と、100件に迫る水準で推移している。
業種別にみると、日本料理店、中華料理店、ラーメン店、焼き肉店などの「専門料理店」が152件(前年同期比14.2%増)と最多だった。「食堂、レストラン」が138件(5.4%減)、「酒場、ビヤホール」が114件(37.3%増)と続いた。多くの業種で前年よりも増加しており、今後の経営環境も不透明であることから、「幅広い業種で通年の過去最多を塗り替える可能性が出てきた」(同社)という。
負債総額は5.4%増の368億円。負債1億円未満が全体の約9割の524件(13.9%増)となり、中小規模の事業者の倒産が多くを占めている。なかでも、1000万円以上5000万円未満の倒産が456件と多数だったものの、5000万円以上1億円未満が68件と前年から51.1%増加。1億円以上5億円未満や、10億円以上という倒産も増加しており、小規模事業者中心でありながら幅広い規模の事業者に影響が広がっている。
都道府県別では、25都道府県で倒産件数が増加。最多は大阪府の108件。次いで東京都91県、愛知県59件だった。前年同期と比べて増加率が高かったのは、静岡県(2件→18件)、広島県(11件→16件)、岐阜県(8件→11件)、奈良県(10件→13件)、愛知県(46件→59件)、大阪府(87件→108件)などだった。
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