メガネスーパーが「リモートでメガネ作り」を導入できた理由:「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(2/3 ページ)
「メガネスーパー」を展開するビジョナリーホールディングスは、完全リモートで度付きメガネを作れるサービスを開始。難しいサービスが実現できたのは“熟練の接客力”を活用したから。コロナ禍の不便解消だけでなく、顧客層やサービスの拡大にもつながる。
コンシェルジュサービスでは、メガネやコンタクトレンズ、補聴器に関するあらゆる相談に、電話やチャット、Web会議ツールで対応する。ただ、一般的なコールセンターとは異なる。その最大の違いは、同社の「部長以上の役職者」が対応するという点だ。
顧客からの多種多様な要望に対して、いくら接客に長けたスタッフが対応したとしても、一般の社員では“即断即決”できないこともある。権限を持つ役職者が直接顧客と話し、すぐに店舗責任者に指示できれば、問題解決までのスピードは格段に上がる。しかも、対応するのは各エリアの営業部長など、豊富な知識と熟練の接客ノウハウを持つ約20人だ。
新たに開始したリモート視力検査サービスは、このコンシェルジュサービスの延長線上にある。検査手順など、複雑な説明にも対応できる熟練スタッフが担当するからこそ、実用化できたサービスなのだという。
自宅でも高精度の視力検査が可能に
今回のサービスのために、米メーカーの視力検査キットを眼鏡チェーンとして初導入した。この検査キットは日本で活用された実績がほとんどなく、研究や教育、個人店のサービスなどに使われたことがあるだけだった。なぜなら、顧客が1人で操作するのは難しい上に、これまでは「セルフで検査する」というニーズがなかったからだ。コロナ禍によってリモートサービスの幅が広がり、心理的ハードルも下がったことが導入のきっかけになった。
検査キットには、今使っているメガネの度数を測定する機器や、遠・近・乱視とその度合いを測る測定器、さまざまな度数のレンズがセットされた検査器、専用ソフトをインストールしたスマートフォンなどが入っている。この検査キットをセルフで操作するのは難しいものの、コンシェルジュサービスを担うスタッフがリモートで丁寧に説明することで、自宅でも精度の高い視力検査を実施することを可能にした。
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