連載
外食チェーンが郊外に簡易型店舗 から揚げやたこ焼きに商機見いだす:「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵(2/2 ページ)
商業施設や都心部などの飲食店が苦戦している一方で、郊外などの“密”になりにくい場所での持ち帰り販売に商機を見いだす企業がある
ワタミも“簡素化”店舗を拡大
コロナ禍で主力の居酒屋業態が苦戦しているワタミは、から揚げと玉子焼きを提供する「から揚げの天才」を積極的に出店している。
から揚げの天才は、2018年11月に1号店を出店した。標準店舗の面積は約33平方メートルで、当初は商店街を中心に展開していた。売り上げに占めるテークアウトの比率は約9割となっている。コロナ禍で中食需要が拡大したため、ワタミはこの業態に商機を見出している。店舗運営の約8割をフランチャイズ(FC)オーナーが担っている。公式Webサイトによると、関東と関西で約50店舗まで増えている。
そんな中、ワタミは9月11日に「から揚げの天才 上尾店」(埼玉県上尾市)をオープンした。同店は、ステーキ店の駐車場内にあるコンテナハウス型の店舗だ。内外装の工事費用を抑えることで、低コストでの出店を可能としている。ワタミの広報担当者は「駐車場を所有している異業種の企業に対して、FC展開のモデルを提示するために出店した」と説明する。
コロナ禍で飲食業界は苦境に陥っている。都市部や商業施設内にある店舗が苦戦し続ける一方で、郊外型の店舗は回復しつつある。ワタミやホットランドのように、手軽に出店できるだけでなく“密”を避けた販売形態は今後、増えていくかもしれない。
関連記事
- 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 「生ビール190円」の原価率は85%? お客が3杯飲んでもしっかり利益が出る仕組みとは
「生ビール1杯190円」という看板を見かける。安さでお客を引き寄せる戦略だが、実は隠されたメリットもある。どんな狙いがあるのか。 - コロナ禍で改革急ぐファミレス サイゼリヤとジョイフルの苦戦が長引きそうな理由
コロナ禍を乗り切るためファミレス各社はさまざまな改革を打ち出している。サイゼリヤとジョイフルは苦しい状況が続きそうだ。その理由とは。 - 「先送り」したいきなり!ステーキと「先手」を打った鳥貴族 コロナ禍で明暗分かれた「見通し」の差とは?
コロナ禍の傷がまだ癒えない外食産業だが、「勝ち組」と目されていた企業間でも明暗が分かれた。今回は、いきなり!ステーキと鳥貴族を例に、小売・流通アナリストの中井彰人氏が解説していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.