総務の仕事は「目立たない」「感謝されない」……戦後最大の「変わるチャンス」到来 36の業務から「求められる役割」を考える:総務プロの「攻めと守り」(3/4 ページ)
会社を運営するためのベースとなる縁の下の裏方仕事、雑用係というイメージの総務。その中でも「目立つ」仕事は何なのか。
コロナ禍で何が起きるのか
コロナ禍での大きな変革は、総務側ではなくユーザー側の「強制的な働き方変革」が本質なのはもうご承知の通りです。その強制的な働き方の変革は、前述の「eメールを主軸+3種の神器+会議」では成り立たないくらい複雑でスピード感を求められる世界であり、文通型(メール)や処理型の業務ではリモートワークは到底生産性が担保できず、半同時性型、ジョブ型、プロジェクト型業務の進め方、つまりSlack、Microsoft Teams、チャットボット、電子取引などを駆使して生産性を確保する必要性が出てきています。
いわゆるeメール(=文通を電子化して便利にしたもの)中心で、たまった文通(時には300件も未読!)を処理するタイプの仕事ではリモートワークには向かない、追い付かないという事態がすでに起きており、遅かれ早かれ変革の必要性は皆に降りかかってくることでしょう。
友達とeメールで会話している人も、さすがにこの数年で少なくなったことでも分かる通り、人は目的達成のために最短で便利なツールを選択していくのは当然のことで、職務ミッション達成型のリモートワークにeメールは適さない、ということは自然に理解され使うツールも働き方も変わってくるのは自明なことです。
こうした「使うツール」の変化は、総務部としてもそれは規定路線なのは分かっていても、ただ問題なのはその変化の「スピード感」が早すぎるということです(リンダラットン著『ワーク・シフト』を参照)。
会社によってさまざまですが、そのスピード感は想定していた変化よりも2倍、5倍、いや会社によっては10倍は早い、ということになります。東京五輪に向けてリモートワークも含めた働き方変革を「3年プラン」くらいで想定していた会社は、すぐに「その達成レベルは必達、さらに向こう5年くらい先の想定値まで一気にジャンプすること」を、経営から求められることになり、アタフタしているでしょう。
こうした流れを、急速にDXを体験しているユーザーからも期待されるという事態です。総務からしたらまさに要求レベルと難易度が「爆上げ」の状態となりました。経営、ユーザー、市場の全てからオフィス立地戦略、再配置、多様なニーズへ対応できる仕組み作りなど、急激な変革を求められる“変化期待”に対し、抵抗するという選択肢は総務部にはもはやありません。総務部の任務、ミッションを背負ってしまっている自分にとって宿命と思うしかない状況です。
総務業務36種から考える「目立つ仕事」
前提の話はこの程度として、ここで「そもそも総務部の仕事は何か?」という問いを思い出しましょう。会社を運営するためのベースとなる縁の下の裏方仕事、雑用係という大枠はイメージ通りですが、もう少し体系的に見てみましょう。FOSC(ファシリティオフィスサービスコンソーシアム)は次のように業務を定義しています。
中心を軸(総務部)として、上層(経営層)への職務としてはリスク管理(BCP関連)、不動産管理系、イベント管理系、渉外業務などが挙げられます。下方面(ユーザーや施設側)にはいわゆるインフラ(ワークプレースや施設)業務、業務支援サービス(プリンティング、受付、メール業務など)と生活支援系の業務(環境、社員イベント、福利厚生など)が挙げられます。それらの横軸として共有プラットフォーム(管理システム、ヘルプデスクなど)があります。
このFOSCの総務業務マップを見ていて、総務部の読者ご自身としてはどの業務を実際にやっている(やっていた)かを眺めてみてください。その上で、その業務が会社にとって「目立つ仕事」「感謝される仕事」かどうか、という軸でもう一度眺めてみてください。
大半の場合は「目立たない」「感謝が薄い(むしろクレーム)」という業務をしているのではないでしょうか。私自身もこの36種マップの仕事も計7社、25年くらいの経験の中で大半は経験させてもらいましたが、「目立たない」「感謝が薄い(むしろクレーム)」の業務が70%くらいだったのです。総務部の大半の仕事はそのような特性(会社の面倒な部分を寄せた仕事)であり、会社の経営を成り立たせる上で仕方ないこと(必要悪)でもあります。
そんな中でも中には「目立つ」仕事もあります。
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