「オフィス、もういらないかも?」 と思えるフルリモート企業の成功事例 カギは「ワイワイ・ガヤガヤ感」:ソニックガーデンに学ぶ(4/4 ページ)
新型コロナの影響で一気に広まったリモートワーク。さまざまな課題が浮き彫りになっているが、中でも「ワイワイ・ガヤガヤ感」を醸成し、どこにいても同じコミュニケーションを取れるようにすることは重要だ。では、どうすればいいのか。
それは、「オフィスにいても、リモートで働いていても、同じコミュニケーションを取る」という方針だ。「リモートだから」と妥協せず、オフィスと同じコミュニケーションを実現できるように腐心した。
職場で起こるコミュニケーションは、議論や承認、指示、提案、相談、声かけ、つぶやき、報告、連絡、掲示、募集――など多岐にわたる。これらを、「同期的/非同期的」「クローズド/オープン」の4領域に分類すると、同期/クローズドは会議室での会議や電話、ZoomやSkypeで行うWeb会議になる。非同期的/クローズドなものとしてはレポートや文書、GmailやSlackでのコミュニケーションが該当する。非同期的/オープンだと掲示板やホワイトボード、Microsoft SharePointやQiita Teamとなるだろう。つまり、これらはリモートワークでも実現できる。
問題なのは、同期的/オープンの領域だ。アナログな環境では物理オフィスのデスクとなるが、従来はそれに代わるデジタルソリューションがなかったという。この同期的/オープンの領域に当てはまるのが仮想オフィスの「Remotty」というわけだ。「あいさつや『終わったー』といったつぶやき、『ちょっといい?』という声かけ相談、『その資料古いよ』という割り込みなどを、仮に物理オフィスで全部禁止して、『全てメールやチャットでやるように』と指示したらうまくいくはずがない、というのは想像できるのではないでしょうか」(八角氏)
変化を恐れず、大げさに考えない
今、コロナ禍で多くの企業が「変化」の必要性に直面している。しかし、いきなり大きく変えるのはリスクとなる。そこで、八角氏は「小さくはじめて継続的に改善することが重要です」と指摘する。加えて、大げさに考えすぎないということも重要なのだとか。
「働き方を変えるのではなく、単に働く空間を変えるということだけを考えると、シンプルに変えるべきところと変えなくてもいいところが分かると思います。リモートワークのノウハウは体系化され始めているので、先人の知恵を活用することが重要です」と八角氏は締めた。
関連記事
- 属人化、在宅勤務、人手不足……課題山積の経理部門、何から手を付ける?
業務の属人化、在宅勤務による生産性の低下、繁忙期の人手不足など課題が山積する経理部門だが、どう解決すればいいのだろうか。CSアカウンティングの中尾篤史社長による「経理部門の働き方改革のススメ〜業務効率を上げるテクニックを伝授〜」の講演からヒントを探る。 - 日本の経理、効率化のカギはBPO 「多すぎる勘定項目」「紙の請求書」を乗り越えるには
リモートワークが難しいとされる経理業務。経理業務に関するソリューションを提供しているファーストアカウンティングの森社長は、課題として「多すぎる勘定項目」と「紙の請求書」を挙げる。リモートワークやBPOを進めるにはどうすればいいのだろうか。 - 改正電子帳簿保存法で、経理は本当にペーパーレス化できるのか
デジタル化の促進に関して、注目されている法律の改正がある。10月から施行される改正電子帳簿保存法だ。今回の改正によって何が変わるのか、実務上どのような影響があるのかをみていく。 - どうする?フリーアドレス 成功のための「5箇条」と、抵抗勢力の乗り越え方
コロナを機に普及した在宅勤務だが、緊急事態宣言が解除されてからオフィス出社へと戻す企業も相次ぐ。しかし、今後は在宅勤務だけではなくテレワークを実施していくことが、企業にとって生き残りの術であることは明らかだ。そこで、今回はテレワークの実施に必要不可欠ともいえる「フリーアドレス」のポイントを解説する。 - オフィス出社は5人だけ! リモート主体で社員700人を支える総務業務のコツとは?
ほとんどの社員がフルリモートのキャスター。オフィス出社しているのは5人だけだというその他、700人の社員がフルリモート勤務の同社だが、総務業務などはどのようにこなしているのだろうか。リモートワークのコツと合わせて聞いた。 - 総務のテレワークを巡る「衝撃の数字」 フルリモート実現の急所とは?
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。総務のテレワークに関する調査で明らかになった衝撃の数字を基に、総務のフルリモートを実現するための急所はどこにあるのかを解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.