日本郵政の「謝罪キャンペーン」が、新たな不祥事の呼び水になると考える理由:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
郵便局員による「おわび活動」がスタートした。「かんぽ生命」契約者の自宅などを局員が訪ねて、謝罪や説明を行うという。こうした行動に対し、「いいことだ!」と思われたかもしれないが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。どういうことかというと……。
5つの約束は「中身が薄い」
筆者は「できない」と考える。残念ながら日本郵政グループの掲げた「お客さまの信頼回復に向けた約束」はあまりにも抽象的で、あれほどの不正をした後の組織がかわす「約束」にしてはあまりにも軽いというか、「ありきたり」だからだ。
例えば、新聞やWebサイト、そして郵便局の窓口にドーンと掲げられた「すべてを、お客さまのために。」というキャッチコピーを、社是やスローガンにしている組織は、イオングループ、阪急阪神ホールディングス、野村証券、ユナイテッドアローズなど枚挙にいとまがない。だが、キャッチコピーよりもさらに「ありきたり」なのは、以下の「信頼関係へ向けた約束」である。
- お客さま本位の事業運営を徹底し、お客さまにご満足いただける丁寧な対応を行います。
- お客さまの声をサービス向上に反映するため、お客さまの声に誠実に耳を傾けます。
- 社員の専門性を高め、お客さまにご納得いただけるよう正確にわかりやすく説明します。
- 法令・ルールを遵守し、お客さまが安心してご利用いただける高品質のサービスを提供します。
- お客さまのニーズを踏まえ、お客さまに喜んでいただける商品・サービスを提供します。
5つの約束の中で、「お客さま」が8回もリピートされていることからも分かるように、顧客第一主義を徹底する決意はよく伝わる。が、言ってしまえば、どこの企業でも顧客対応の基本的な心得としているものばかりで、日本郵政グループの不祥事体質の改善を求める国民からすればあまりピンとこない。
意地の悪い人ならば、「そんなもん全部当たり前だろ!」と嫌味が飛んできそうなくらい、「薄い中身」だと言わざるを得ない。外部の人間ですらこんな調子なのだから、郵便局内部のモラル崩壊に危機感を覚え、経営陣の姿勢に不満を抱くような内部の人間ならば、もっと厳しい目で見ているのではないか。
そのような人たちの中には当然、先ほども触れたように「内部告発」によって、組織をよくしようと考える人たちが一定数いる。つまり、今回の謝罪キャンペーンによって現経営陣への失望・怒りが高まって、再び「かんぽ不正祭り」のときのようなマスコミへのリークが活性化するのである。
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