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株価二番底はない? 今の株価がバブルではないワケ(3/3 ページ)
「二番底は来ないのかとよく聞かれるが、今想定される範囲内では、大きく下がる理由はほとんどない」。日興アセットマネジメントの記者向けセミナーで、チーフストラテジストの神山直樹氏は、このように話した。
コロナ対応の経験を積んだ各国
コロナの第一波のときは、各国は未知のウイルスへの対応に追われた。米国でも、1回目はニューヨークなどで都市のロックダウンが行われたが、2回目の感染拡大が起こったテキサスではそこまで行かなかった。最初の感染対策の経験が、それ以降で効果を発揮した。「テキサスで医療崩壊の話は聞かなかった。ニューヨークでの経験から、バーの営業停止やテレワークの推奨などで感染は落ち着いた」と神山氏。
各経済指標が順調に回復している、金融政策も大きな変化は起こりにくい、第一波の感染から経験が積まれた――。こうしたことから、現在の株価は回復していく経済を先取りしているという見立てだ。医療崩壊が起こるような新たな大流行が起きない限り、この状況は変わらない。
「感染の第二波がきたら崩壊するという話ではない。(外食産業など)目に見える部分でひどく落ち込んでいる印象があるが、日本でいえば外需がそこそこあることを認識しておかなければならない。コロナ禍からの回復が道半ばなのは事実だが、先にマーケットが戻って、現状がそれに追いつこうとしている状況にある」(神山氏)
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