内定者が採用活動を担当? コロナ禍で激変する新卒採用の形、リファラル採用の新潮流:「待ち」ではない採用を(2/4 ページ)
人事業務の大きな負担である「採用」業務。特にコロナ禍によって、新卒採用にも変化の機運が高まっている。そんな中で、リファラル採用を活用するのも一つの手だ。内定者とともに、次年度の新卒採用をリファラル採用で行うケースも出てきている。
「1人も採用できていない」企業が約4割
21卒の新卒採用では、大手ナビサイトが合同会社説明会を中止したことに始まり、企業と学生が出会う場が大きく減りました。マイナビが8月に実施した21卒の採用調査によると、採用を予定する人数に対して実際に採用が確定している「採用充足率」について「0割」、つまり1人も採用できていないと回答した企業が約4割にのぼりました。当初の採用予定数から新卒採用人数を絞っている企業もあるようです。
企業側での「オンライン化の遅れ」も課題になっています。小さなころからデジタルに触れ、講義もオンラインで受講している学生も多い一方、採用ツールの操作に手間取ったり、在宅勤務では通信回線が十分ではなく、面接のたびに会社に出社しているという人事担当者の話もよく聞きます。
また、就活生は自分の就職先へ不安をもっている人が多くいるようです。当社の調査結果から、7月時点で内定を持つ就活生のうち「4人に1人が2社以上に複数内定を持つ」意向があると分かりました。つまり、就活生はオンライン選考や内定取り消しのニュースの影響もあり、「どの内定先が自分にあっているか決め手に欠ける」「不景気による内定の取り消しが不安」といった悩みを持ち、どこに入社するかを決めあぐねているのです。
リーマンショック時はどうだった?
このように、雇用は景況感に左右されますが、コロナ禍とよく比較されるリーマンショック時の新卒採用への影響はどうだったのでしょうか。
リーマンショックは08年に到来し、およそ2年後の2010年に新卒採用の数が落ち込み、大学卒業後の就業率が低くなりました。このように景況感が変動して1〜2年後に新卒採用へ影響することを考えると、今後22・23卒採用において採用数・就業率へのコロナ禍による大きな影響が出てくると推察できます。ただし、主に大手企業では従業員の平均年齢が高く、社員の年齢比率が逆ピラミッド型になっているため、中長期を見据えて新卒採用は変わらず継続する会社も多いというのが筆者の感じている印象です。
また、リーマンショック後から“法人から個人へのパワーシフト”が世の中のトレンドとなりました。例えば会社の正社員として働くだけでなく、クラウドソーシングサービスやフリーランスが注目され始めたのもこのころです。新卒採用についても同様の流れがあり、法人から個人へのパワーシフトが起こっています。
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