「週休3日」「副業容認」は各社各様 “柔軟な働き方”を手放しで喜べないワケ:見逃してはいけない「3つの変化」とは?(5/5 ページ)
新型コロナを受けて大手企業でも「週休3日制」や「副業容認」が進む。これまでもいくつかの企業はこうした働き方を柔軟にする制度を導入してきたが、個々の会社によって運用方式は違う。それぞれの違いを見逃さないために抑えておくべき、「3つの変化」とは。
例えば週休3日制を導入する場合、中にはそれを望まない働き手もいるかもしれません。仮に給与を減らしたくない人が、週休3日制を選ばざるを得ない状況に追い込まれて、嫌々ながら承諾するというようなことがあった場合、それは働き手にとっては不合理な施策です。さらに、将来に対しての不安が募ることになります。
企業が経済的合理性に照らし合わせて施策を打つことは当然かもしれませんが、結果的に働き手の自由を無用に奪ったりモチベーションを下げてしまうようになってしまっては、回り回って企業側にもデメリットが生じます。そうなると本当に合理的といえるかどうかも疑わしくなります。
経済的合理性だけではない道を探るべし
さらに、企業が働き手に柔軟な選択肢を提供する背景には、人口減少・厳しい市場環境・コロナ禍と少なくとも3つの事情が重なっています。今はコロナ禍への対応に目が奪われがちですが、他2つの変化も厳然として存在しています。これらは入れ替わりで生じたのではなく、今も3つ同時に重なっているのです。目先の経済的合理性だけで判断してしまうと、働き手との信頼関係が損なわれ、後々大きなしっぺ返しがやってくる懸念もあります。
今は働き方の柔軟度が高まる方向に進んでおり、そのこと自体は望ましいことだと思います。しかし、柔軟度と引き換えに将来が不安になるようでは、企業と働き手の関係性が幸せな方向に進むとは思えません。企業には経済的合理性を踏まえつつも、柔軟性と安心感を両立させる選択肢を働き手に提示する努力が求められます。
一方で、厳しい市場環境の中、全てを企業努力だけに委ねるのは限界があります。企業が市場競争力を高め、働き手が柔軟性と安心感を両立できる社会システムの構築に向けて、政府のリーダーシップ発揮も求めたいと思います。
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