2015年7月27日以前の記事
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韓国アイドル”BTS”株乱高下、芸能界の株式上場が世界的に珍しいワケ古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/4 ページ)

著名KPOPグループの「BTS(防弾少年団)」が所属する「ビッグヒットエンターテインメント」が10月15日、KOSDAQ(韓国証券市場)に上場した。実は、ビッグヒット社のような数千億円規模の芸能プロダクションが上場する例は世界的に見ても稀であり、日本においてもこれは例外ではない。芸能プロダクションはなんらか株式公開をしない普遍的な理由があると考えられる。それは一体なぜなのだろうか。

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ホリプロが語った「非上場化」の事情

 その理由をひも解く上では、ホリプロのMBOによる非上場化の事例が手がかりとなるだろう。

 かつて、ホリプロがMBOを決定したとき、同じ時期に暴力団排除条例が施行されたこともあり反社会的勢力に対する規制が強化されていた。時期が重なったことで、「芸能プロダクションには黒い交際があるため上場を維持することが難しいのではないか」といったうがった憶測も流れたというが、同社は09年にもMBOを検討していることや、海外の芸能事務所においても非上場企業が圧倒的多数を占めることから考えれば、本質的な別の理由があるはずだ。

 実は、ホリプロ側は11年12月に公表したプレスリリースにて、芸能プロダクションとして上場の必要性に乏しい旨に言及した箇所がある。

 同社は、「市場を通じた資金調達の必要性が当社にはなく、すでに幅広い知名度、ブランド、信用力等を有している当社にとって、上場を維持するメリットは必ずしも大きくない状況にある」とし、J-SOX法による金商法上の内部統制機能の導入、およびIFRS(国際財務報告基準)や有価証券報告書などの開示にかかる費用が経営負担となることを明らかにしていたのだ。


MBO実施の発表において、「上場を維持するメリットは必ずしも大きくない」とホリプロは記した(ホリプロPDF

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