島忠へのTOB どちらに転んでもニトリにはメリットしかない理由:王手飛車取り(4/4 ページ)
ニトリが島忠の買収に名乗りを上げた。筆者は仮に買収できないとしても、ニトリにとっては大きなメリットがあると指摘する。その姿は、かつてのドン・キホーテと重なるという。
王手飛車取りの好手になるか
筆者は、島忠の買収劇がどちらに転んでも、ニトリにはメリットしかないと考えている。
一方のDCMにとっては、規模拡大に必要な島忠を奪われる可能性がある。もしくは、計画していたよりも高値で買わなければいけなくなり、財務の負担が増してしまうリスクが高い。
島忠を獲得できたとしても、TOB合戦を通じてニトリがメディアに多く露出すると、どんなことが起きるだろうか。
ホームファッション、そして日用品を含む独自のディスカウンターとして、ドン・キホーテのような新しい独自のディスカウント業態としての「ニトリ」が、社会に浸透することを助けてしまい、自分たちにとっての脅威を育てることになってしまうのではないか。
DCMにとっては、長い目で見たときに“王手飛車取り”の嫌な手を打たれているように見えるのは言いすぎだろうか?
今後の「ニトリ」の進化とホームセンター業界各社の対応は要注目だ。
著者プロフィール
小島一郎
株式会社分析広報研究所 チーフアナリスト・代表取締役
年間1000社の上場企業への継続的なリサーチ活動を行っているアナリスト。独自リサーチを基盤に、企業に対して広報や企業価値向上施策に関するコンサルティングを行っている。
1997年上智大学経済学部卒。入社した山一證券で山一証券経済研究所企業調査部に配属されるも破綻を経験。日本マイクロソフトを経て、大和総研企業調査部にて証券アナリストを行う。日経金融新聞(現日経ベリタス)、エコノミスト誌の人気アナリストランキングに名を連ねた。その後、事業会社に転身、上場物流不動産会社、上場ゲーム会社、上場ネットサービス会社で広報IRや経営企画に携わる。2012年独立。リサーチアナリストや事業会社での実務経験を活かして、企業価値向上を戦略面、広報実務面でサポートする株式分析広報研究所を設立し現在に至る。企業価値向上の実績を積み上げている。
アナリスト、コンサルタントとしてビジネス媒体中心に記事執筆。全国紙、地上波等でのコメント紹介多数。
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