まるで「関ヶ原の戦い」 “覇王”ウエルシアや“九州の雄”コスモスの猛攻にマツキヨ・ココカラ連合は……:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)
ドラッグストア各社の競争が激化している。コロナ禍やインバウンド需要消失で苦戦するチェーンも出てきた。一方で、スーパーや同業を買収して勢力を拡大する動きも。
スーパーマーケット顔負けなほどに食品を強化してきたドラッグストア各社。業界最大手のウエルシアホールディングス(HD)をはじめ、新型コロナウイルスの感染拡大による“巣ごもり消費”が追い風となり、多くの郊外型チェーンが2桁成長を遂げている。
ところが、インバウンドや化粧品に重きを置いてきたマツモトキヨシHDをはじめとする、主に駅前立地の都市型チェーンは、苦境に立たされている。
二極化現象が進行する中で、北陸を基盤とするクスリのアオキHDが地元密着型の食品スーパー2社を立て続けに買収。競争優位を確保しようとしている。
業界再編にとどまらず、スーパーをも巻き込みながら激変するドラッグストア業界を追う。
戦略ミスが疑われるマツキヨの1人負け
ドラッグストア大手5社における直近の決算を見ると、首位のウエルシアHDは21年2月期第2四半期(20年3〜8月)の売上高が4767億円(前年同期比11.5%増)、経常利益279億円(同42.0%増)と極めて好調。
2位のツルハHDは、21年5月期第1四半期(20年6〜8月)の売上高が2246億円(同7.6%増)、経常利益153億円(同19.1%増)と順調。
3位のコスモス薬品では、21年5月期第1四半期(20年6〜8月)の売上高が1892億円(同15.0%増)、経常利益112億円(同49.0%増)と、こちらも絶好調だ。
4位のサンドラッグは、21年3月期第1四半期(20年4〜6月)の売上高が1568億円(同2.9%増)、経常利益108億円(同11.8%増)と増収増益。
5位のマツモトキヨシHDでは、21年3月期第1四半期(20年4〜6月)の売上高が1316億円(同9.8%減)、経常利益63億円(同35.8%減)となっている。
比較する期間は異なるものの、各社の決算は緊急事態宣言以降の営業状況を表している。ウエルシアとコスモスは2桁成長で、勢いづいている。売り上げが落ち込んでいるのはマツモトキヨシのみで、1人負けともいえる厳しい状況だ。
マツモトキヨシは17年にウエルシアに抜かれるまでは、22年間も業界首位を独走していた。19年には5位にまで落ちているのだから、凋落(ちょうらく)は今に始まったわけはなく、戦略ミスが疑われるところだ。
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