まるで「関ヶ原の戦い」 “覇王”ウエルシアや“九州の雄”コスモスの猛攻にマツキヨ・ココカラ連合は……:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)
ドラッグストア各社の競争が激化している。コロナ禍やインバウンド需要消失で苦戦するチェーンも出てきた。一方で、スーパーや同業を買収して勢力を拡大する動きも。
スギやココカラファインの動向は
6位と7位の状況はどうか。
6位のスギHDにおける21年2月期第2四半期(20年3〜8月)の売上高は、3026億円(同14.8%増)、経常利益192億円(同22.5%増)。
7位のココカラファインの21年3月期第1四半期(20年4〜6月)の売上高は、945億円(同7.6%減)、経常利益23億円(同37.1%減)となった。
スギHDが絶好調なのに対して、ココカラファインは不調で、明暗を分けている。
マツモトキヨシとスギは、ココカラファインとの経営統合を巡って争った因縁がある。どちらと統合しても、首位を争っているウエルシア・ツルハの両社を抜いて、業界トップに躍り出る話になっていた。しかし、結果としてココカラファインはマツモトキヨシを選んだ。ところが、この組み合わせはコロナ禍が直撃して苦しい会社同士の統合となった。
マツモトキヨシの20年3月期決算によると、小売の商品別構成比は、医薬品27.1%、化粧品40.9%、雑貨20.1%、食品11.8%となっている。化粧品が4割を占めているのに対して、食品が1割と非常に弱い。
ココカラファインも似ている。20年3月期決算によると、商品別構成比は、一般用医薬品14.2%、調剤17.7%、化粧品29.1%、健康食品2.8%、衛生品11.7%、日用雑貨13.6%、食品11.0%となっている。マツモトキヨシほどではないにしても、化粧品が3割で非常に強く、同じく食品がとても弱い。
マツモトキヨシとココカラファイン。ともに駅前立地が主流で、若い女性を主要ターゲットにしており、インバウンドと化粧品を強化して売り上げを伸ばしてきた。
しかし、コロナ禍によって、海外からの観光客は当面望めない。人々はマスクで顔を覆っていて、「GO TO」キャンぺーンが始まってはいるが、多くの人は外出を控えている。そのため、口紅や頬紅をはじめとする化粧品の売り上げは落ちている。
例えば、資生堂の20年12月期第2四半期決算(20年1〜6月)は、売上高4178億円(同26.0%減)、経常損失が64億円の赤字である。化粧品の不振が、両社を直撃している。
だが、希望はある。ココカラファインが近年力を入れている利益率の高い調剤だ。直近の決算書では、調剤薬局について、高齢化に伴い「高度な服薬指導、服薬情報の一元的・継続把握を行う『かかりつけ薬剤師』の育成や『健康サポート薬局』の展開、後発医薬品の使用促進等、多様な医療ニーズへの対応が求められている」と述べている。マツモトキヨシの店舗でも扱いが増えてきた。
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