まるで「関ヶ原の戦い」 “覇王”ウエルシアや“九州の雄”コスモスの猛攻にマツキヨ・ココカラ連合は……:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
ドラッグストア各社の競争が激化している。コロナ禍やインバウンド需要消失で苦戦するチェーンも出てきた。一方で、スーパーや同業を買収して勢力を拡大する動きも。
スギの独自戦略
一方、スギは地域医療の一環を担うのがドラッグストアのあるべき姿という考え方をしており、調剤部門に力を入れてきた。ココカラファインとの経営統合はできなかったが、コロナ禍で顧客から支持され、目下の業績は絶好調である。
スギの20年2月期決算では、商品別売上構成比が、調剤22.0%、ヘルスケア21.4%、ビューティー20.6%、ホーム18.8%、フーズ17.1%、その他0.1%となっている。主要5分野が2割前後のシェアで拮抗しているのが特徴だ。バランスが良く、どこからでも売り上げがつくれる強みがある。
今回のような新型コロナで巣ごもり消費が進み、国民の大半がマスクを常用する環境にどう対応するか。食品や体温計、除菌グッズのような衛生用品を強化して、化粧品の落ち込みをカバーすれば良い。調剤の処方を待っている間に今夜のおかずを購入できるようにすれば、地域住民にとって1カ所で用事が済むため、利便性が高い。
勢力を拡大するウエルシア
業界首位のウエルシアも、スギと似たビジネスモデルを展開しており、調剤強化にも大変熱心だ。
ウエルシアの20年2月期決算によれば、商品構成比は医薬品・衛生介護品・ベビー用品・健康食品20.5%、調剤17.9%、化粧品17.3%、家庭用雑貨14.7%、食品22.1%、その他7.6%となっており、バランスがとれている。
ウエルシアはツルハと同様、M&Aに熱心な会社であった。コロナ禍においても積極的に動いており、9月に上新電機からドラッグストア「マザーピア」6店を譲渡されたと発表。6月に群馬県のドラッグストア「クスリのマルエ」、7月に調剤薬局である愛媛県の「ネオファルマー」と「サミット」を傘下に加えている。
また、8月には福井県を地盤とする「ホームセンターみつわ」と業務提携。福井県に進出する礎を築いた。
ウエルシアはイオンの連結子会社であり、イオンの業績にも大いに貢献している。そして、豊富な資金を背景に、M&Aによる事業拡大を有利に進めている。
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