楽天モバイル、利用者160万到達 基地局建設5年前倒しするも、重い負担
楽天モバイルの申し込み者数が11月に160万回線を超えた。11月12日、楽天が決算会見で明らかにした。併せて、基地局の建設を加速する。計画から5年前倒しして、2021年夏には人口カバー率で96%の達成を目指す。
楽天モバイルの申し込み者数が11月に160万回線を超えた。11月12日、楽天が決算会見で明らかにした。併せて、基地局の建設を加速する。計画から5年前倒しして、2021年夏には人口カバー率で96%の達成を目指す。
「顧客獲得はほぼほぼ順調。楽天エコシステムを使ったオンラインでの獲得が進んでいる」と楽天の三木谷浩史会長は話した。
従来のMVNOサービスの利用者と合わせた回線数は340万回線。現時点では、MVNOからの乗り換えは積極的には推し進めていない。160万回線の大半が新規と他キャリアからのMNPであり、MNPの比率が高いという。
回線利用者獲得のフックになっているのが、楽天ポイントを軸にした楽天エコシステムだ。ポイントの発行総額は2兆円に相当する2兆ポイントを突破。年間約3200億ポイントを発行している。複数の楽天サービスを使うことで還元率が向上する「SPU」の強化も進めており、サービスのクロスユースが促進された。「2つ以上のサービスを同時に利用するユーザーは70%を超えており、クロスユースは二桁ポイントの成長だ」(河野奈保CMO)
楽天モバイルの成長を加速させるキーの1つは利用エリアの拡大だ。三木谷氏は人口カバー率96%を達成する、21年夏が転換点になると見る。「電波のカバレッジがあるところとないところでは、コンバージョンレートが倍以上違う。データ利用も倍以上違う。ユーザーはデータ容量に気を付けていたところから開放される」(三木谷氏)
現時点では利用エリア含む回線品質やサポートにつながりにくいなどの不満の声もあるが、利用者が一定数に達すれば、認知も高まり、伸びが加速すると見る。
「本当にこの値段でやってくれるのか、いまだに何か裏があるんでしょ? と多くの人は思っている。それが300万なのか500万なのかは分からないが、クリティカルマスを突破すれば『なんで楽天モバイル使っていないの? 安いのに』となる。使う人が増えるほど、楽天モバイルへの安心感が口コミ広がり、雪だるま式に広がるだろう」(三木谷氏)
一方で、楽天モバイルへの投資額は重い。モバイル事業だけで430億円の投資となっており、2020年7〜9月期の営業利益(IFRS)は前年から409億円減少し、398億円の赤字となった。楽天全体では、売上高は3614億円と前年同期から13.2%増加しており、モバイルと物流、投資事業の損益を除いた営業利益(Non-GAAP)は前年から33%増加している。基地局建設の前倒しにより、今後、集中的に追加の費用が発生することになる。
21年の4月からは、無料キャンペーンが期限を迎え、以降モバイル事業の売上がたつ計画だ。三木谷氏は、「無料期間が終わったあとも価格優位性がある。ポイントも使える。SPUを活用している人なら2980円は全部ポイントで払えてしまうのではないか」と、無料期間終了後のユーザーつなぎ留めにも自信を示した。
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