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カプコンを攻撃したのは誰か 「世界で最も有害」なサイバー犯罪集団の正体世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

カプコンがサイバー攻撃を受けた。最大35万件の個人情報が流出した可能性がある。その攻撃を仕掛けたのはどんな集団かというと、世界的に暗躍するロシア系のハッカー集団だという。他にもランサムウェアによる攻撃は勢いを増しており、対応を急ぐ必要がある。

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「世界で最も有害なサイバー犯罪集団」とは

 この攻撃で使われたランサムウェアは、「Ragnar Locker」というものだった。

 Ragnar Lockerは、19年12月に初めて確認された、Windowsのシステムに感染するランサムウェアだ。通常、ランサムウェアはコンピュータやネットワークを暗号化して使えなくし、暗号を解くのに身代金を支払うよう要求するのだが、今回の攻撃者は、システムを暗号化するだけでなく、暗号化に着手する前に内部の情報を盗み出して、その情報を暴露すると脅迫し、さらに金銭を要求する。最近はこうしたタチの悪い「二重搾取」と呼ばれる手口が増えている。

 実はカプコンが攻撃に遭ったのと同じようなタイミングで、イタリアの飲料大手カンパリも、11月3日に同じランサムウェアによる攻撃を受け、2テラバイトという大量の情報を盗まれていた。さらに1500万ドルの身代金を要求されたことも公表していた。


攻撃者は被害企業に多額の身代金を要求している(写真提供:ゲッティイメージズ)

 ではこのRagnar Lockerを使う攻撃者とはいったい何者なのか。

 海外情報機関の元関係者で現在はセキュリティ企業に協力をしている人物に取材を行うと、今回のカプコンへの攻撃を「かなり注目している」とし、筆者にこう話した。「この『Ragnar Locker』というランサムウェアを使って攻撃を行っている集団は、ロシアの政府系ハッカー集団で、『TA505』という名の集団だ。世界的に起きている大規模なランサムウェアの攻撃キャンペーンの多くに関与しているグループだね」

 このTA505は、「イーブル・コー」という名前でも知られ、14年から活動を行っている金銭目的のハッキング集団だ。ターゲットを決めて標的型攻撃を行うことで知られている。当初は金融機関などをターゲットに定めて攻撃を繰り返しており、当時から1億ドル以上を盗んでいたとしてリーダー格のロシア人2人が米国で指名手配されている。そのうち1人には米国務省とFBI(米連邦捜査局)が500万ドルの報奨金を懸けているほどの「危険人物」だ。

 また英国の国家犯罪対策庁(NCA)も同グループを「世界で最も有害なサイバー犯罪集団」と呼んで、その動向を追っている。

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