LINEで“濃い”関係づくり、売り上げ1.3倍に コメ兵が見据える中古品ビジネスの将来像:「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(3/4 ページ)
中古ブランド品売買のコメ兵は、オンラインとリアルの接客を組み合わせたサービスを強化している。コロナ禍では「LINE接客」を活用し、店員1人当たりの平均売り上げが1.3倍に伸びた。デジタル活用の目的は“非接触”だけではない。顧客との“濃い”関係づくりだ。
「新型コロナによって店に来る人が大幅に減り、来店しても用事だけ済ませて帰る人が多い。そんな状況でも、LINE接客によって、お客さまにこれまでと違う体験を提供できる」(藤原氏)。店員にとっても、自分の担当する顧客にこれまでと異なるアプローチで接する機会になった。顧客が来店したときに話を聞いて即座に提案するだけでなく、事前のコミュニケーションがあることで、提案の幅を広げることができる。また、LINEであれば返信するタイミングを自分でコントロールできる利点もある。
このように顧客と密に関わる方法がうまく機能しているのは、LTV向上を見据えて「お客さまと長く付き合うという意識が根付いている」(藤原氏)からだ。それが顧客にも伝わり、店舗でもLINEでも、自分の担当者とおしゃべりをしたがる人は多いという。
満足度向上へ「データ活用」も本格化
現場での関係構築にデジタルを使うだけでなく、データ活用による顧客体験向上に取り組むことも視野に入れる。OMO(Online Merges with Offline)推進の一環として、8月にECサイトをリニューアル。スマホで使いやすいサイトにしたほか、コンタクトセンターの機能を強化して、ECと店舗の問い合わせ対応窓口を集約させた。
そして、ECサイト刷新によって、さまざまなデータを管理して分析する基盤を整備したという。購買データと顧客の基本データにとどまらず、ECサイト内での行動データ、アンケートデータ、ダイレクトメールに対する反応などを分析する基盤を整えており、今後はそういったデータを活用する機能を増やしていく計画だ。
それができれば、顧客に精度の高いレコメンドをすることが可能になる。これまでは対人接客のノウハウを生かした提案を行ってきたが、まだ接客経験が少ない人には難しかった。データを活用できれば、それぞれの客におすすめできる商品が分かってくる。データを接客と組み合わせることで、顧客満足度を高めることが狙いだ。
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