コロナ禍の医療DX! 開発に5年「AI問診ユビー」が期待されるワケ:時間短縮(3/5 ページ)
医療界にも、さまざまなツールが導入されている。その中でも、筆者は「AI問診ユビー」に着目。各方面から注目されているこのサービスは、どんな機能を搭載しているのか。共同代表に話を聞いたところ……。
医師とエンジニアが5年をかけて開発
ユビーは17年に、共同代表取締役の阿部 吉倫氏と久保 恒太氏により創立されたスタートアップ。高校の同級生である2人は、13年から約5年の歳月をかけて研究開発を進め、18年8月、ようやくサービスの正式リリースにこぎつけた。
これほどまでに時間を要したのは、アルゴリズム開発に必要な症状や疾患などのデータが世界中にバラバラの形式で散らばっているから。阿部氏いわく「医療の世界にはデータがあるようでないのが実情」なのだとか。2人は初期メンバーとともに膨大な時間をかけて、人手で5万件の論文を取り込んだ独自データを構築した。
「2013年当時、研修医だった私は、東京大学大学院の学生として病気予測の研究に従事していた久保から誘いを受け、2人で研究開発を進めることに。医師とエンジニアがタッグを組んだことは非常に有利に働いたものの、さまざまな障壁により想定以上の時間がかかってしまいました。実はデータ構築以外にも、1つ大きな落とし穴があったんです」(阿部氏)
これは、正式リリース前の「AI問診ユビー」のデザイン。ドラムロール式など、アプリなどでよく利用されるデザインを採用したところ、試験導入中だった病院から「これでは継続利用できない」と多くの苦情が舞い込んだ。
「スマホやアプリの利用率が低い高齢の患者さんが、まったく使えなかったんです。かなり厳しいフィードバックを受けて、システムの基盤をイチから作り直しました。自分たちの過ちに気付くまでに時間は要しましたが、デザイン一新後は効率化に貢献できるようになりました」(阿部氏)
阿部氏が副業として続けていたユビーの仕事を本業にした背景には、医師として現場に立つなかで感じた切実な課題意識があった。
「カルテ記載をはじめとした膨大な事務作業に時間を取られ、患者さんとじっくり向き合えないこと、長時間労働が常態化している過酷な環境が大きな悩みでした。さらに、来院が遅れたことで助けられない患者さんの多さにももどかしさがありました。研究を進めるなかで、テクノロジーでこれらの課題を解決できるという確信が生まれ、起業にいたりました」(阿部氏)
阿部氏は、現在もユビーの勤務と並行して医師を続けており、現場で得た知見をサービス開発に生かしている。同社に在籍する4人の医師も、全員が週1で医師として現場に立ち、週4でユビーに勤務している。
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