「次なる島忠」は? 買収劇から透けて見えた、ニトリの壮大な野望:小売・流通アナリストの視点(3/4 ページ)
島忠争奪戦に勝利したニトリ。小売・流通アナリストの中井彰人氏によると、どうやらホームセンター業界だけでなく、まだまだ狙いがありそうだ。
意外と知られていないのだが、作業着店から出て今や女性客の取り込みにも成功し、マスコミでも話題のカジュアル衣料品チェーン「ワークマン」も、このグループなのである。
ワークマンは作業服由来の機能的なカジュアル衣料を進化させた「ワークマンプラス」で、郊外女性客の支持を受けるようになり、今や「ワークマン女子」という業態を横浜中心部のターミナルショッピングモールに出して、大いに話題となっている。郊外から中心部まで首都圏を席巻し始めており、都市部攻略を進めるベイシアグループの知られざる尖兵となりつつあるのだ。
今回、島忠を傘下とすることに成功したニトリに対して「首都圏進出」で後れを取ることにはなるが、「カジュアル衣料品分野」ではベイシアグループが一歩先を行っている。着実な成長でぴったりと追随するベイシアグループとニトリは、首都圏争奪戦で相まみえることになるはずだ。既にこのジャンルで、首都圏の中心部で確固たる地歩を固めているMUJIブランドをもつ良品計画も交え、3社が競合として意識される日が来るのはそう遠くないだろう。
製造小売勢が「都市攻勢」を強めるワケ
雑貨、インテリア、カジュアル衣料を巡って、製造小売業化した新興勢力が大都市争奪戦を準備している理由は、当たり前のことだが、郊外から成長してきたがゆえに郊外を食いつぶしてしまい、さらなる成長のために残る大都市圏を奪い合うしかないからだ。それも、今後の地方圏での人口減少、高齢化の進行を考えれば、地方のみに座していれば、縮小均衡しかないのは自明だろう。
ただ、ニトリ、ベイシアグループが優先的に大都市部を争うのは、他にも理由があると思っている。
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