総務よ、安易に「オフライン回帰」を許すべからず 今、総務に求められる態度とは?:「総務」から会社を変える(1/3 ページ)
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。「オフライン」へと回帰する企業も多い中、もっとオンラインを使いこなす姿勢こそが総務に求められると豊田氏は指摘する。
冬を迎え、新型コロナウイルスの感染が再々拡大し、夏場の第2波に続いて第3波が到来している。コロナ禍を巡っては、ある種「強制的」な在宅勤務が広がっており、以前よりチャットやWeb会議を導入・実践していた企業は問題なくコミュニケーションが取れたのだが、不慣れな企業や今回を機に初めて導入した企業は、コミュニケーションの課題が山積したようだ。
社内会議もイベントも、手探り状態の中リモートでの実施。定例の報告会議は何となく対処もできようが、内定式や新人研修、株主総会をリモートで実施するのは少々ハードルが高かったようだ。「雑談が減った」とか、「気軽に質問ができない」「1日誰とも話さなかった」などなど、さまざまな声を聞く。コミュニケーション不足が影響して、一部では従業員がメンタル不全に陥るなどの問題もあったようだ。
社内だけでなく社外との会議、営業活動などもリモートで行うことが頻繁にされている。こちらも、もともとやりとりがあった取引先などであればよいが、初めての打ち合わせでは、なかなかリモートだとやりづらいこともある。中にはいったんビジネスを止め、「落ち着いたらリアルで会いましょう」というような約束をした方も多かったのではないだろうか。
多くの人がそんな経験をしながら、ある程度リモートに慣れたところで、フルリモート勤務は解除し、出社率を上げる機運も高まってきている。多くの企業は、週1〜2日の在宅勤務を軸としているようだが、企業によっては、ビフォーコロナの時代に後戻りして、「原則出社」としたところもあるようだ。
そこで出てきた現象が、オフラインでの会議、オフラインでの接客への「回帰」だ。つまり、なかなか慣れないリモート会議を中心としたビジネスのオンラインシフトを諦め、リアルの場へと回帰する企業が出ているのである。筆者としては、オンラインを使い倒すことなく、リアルへと回帰してしまうは、実にもったいないと感じる。確かに、リアルの方が優れている点はある。だが「楽な方」という理由で、リモートを使い倒さずしてリアルを優先するのは、デジタルトランスフォーメーションが一種のバズワードと化している今、非常に残念な現象だと思う。
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