総務よ、安易に「オフライン回帰」を許すべからず 今、総務に求められる態度とは?:「総務」から会社を変える(2/3 ページ)
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。「オフライン」へと回帰する企業も多い中、もっとオンラインを使いこなす姿勢こそが総務に求められると豊田氏は指摘する。
Web会議システムで議論を活発化するには
ここでは、既に普通になっているWeb会議システムのメリットをあらためて考えてみたい。まずは、参加者が平等に掲載されるという点である。オフラインの会議では、座る場所によっては、端っこになってしまったり、顔が見えづらいなどの影響が出てしまう。また、その人の持つ雰囲気、オーラに影響を受けるケースもあるかと思う。何となく苦手な同僚や怖い上司、こうした人に気おされて意見しづらい、という経験をした人もいるのではないだろうか。
一方、Web会議では、参加者全員の顔が、ほぼ同じ大きさで表示される。雰囲気などは伝わってこず、全ての人が平等に参加している状況となる。場の空気、雰囲気に影響されることなく、臆することなく発言ができることもメリットだ。逆に、全く発言しない人がいれば、目立つ。リアルの場だと、陰に隠れて、発言をしなくても目立たないが、Web会議だと、そうはいかない。このように、議論が活発になされる点もメリットに数えられる。
チャット機能も使ってみよう
議論を活発化するにはチャット機能の活用も手だ。オフラインの会議では、参加者の意見をその開催時間中に全て拾うことは、時間の制約もあり、難しい。また、先に記したように、場の雰囲気により、なかなか発言することが難しい場合もある。
一方、Web会議であると、誰でも同時にチャットに書き込むことで意見を発信できる。同時に、誰でも、瞬時に意見を発信できるのである。そして、それをそのまま記録に残せるので、書記も要らない、というのも大きなメリットである。書き込まれたものを全員が眺め、必要なもののみピックアップして、さらに議論を深めることもできるだろう。
また、録画ができるのも便利である。これまで、会議を録音して、参加していないメンバーに聞いてもらうことはほとんどなかったといえる。あったとしても、書記が記録した議事録を事後共有することくらいだろう。ただ、合間の会話を記録することはないだろうから、全体感は理解できても、細かい議論の経緯などは理解することが難しかった。一方、Web会議システムでは、細大漏らさず当日参加した場合と同様の状況が共有できる。これも、オフラインではあり得ないメリットである。
関連記事
- BCP、本当に十分? 調査で読み解く、コロナ禍で浮かんだ課題と今後
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。コロナ禍で注目度が高まるBCPだが、調査で見えた現状と課題とは? - 生産性を高める「健康」と「幸福」 総務が防ぐべき“宝の持ち腐れ”とは?
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。コロナ禍の中、いかに従業員の「健康」を維持・増進し、「幸福」へとつなげられるかが総務主導で生産性を高めるカギだと豊田氏は指摘する。 - 今こそ「腕の見せ所」 第2波が到来したコロナから、総務は会社をどう守る?
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。第2波が到来した新型コロナから、総務はどう会社を守るべきか。出社させるのか、在宅にするのか。出張や通勤など、移動の制限を設けるのか、プライベートでの感染症対策をする場合には、どこまで踏み込むべきなのか。勘所を豊田氏が解説する。 - どうする?フリーアドレス 成功のための「5箇条」と、抵抗勢力の乗り越え方
コロナを機に普及した在宅勤務だが、緊急事態宣言が解除されてからオフィス出社へと戻す企業も相次ぐ。しかし、今後は在宅勤務だけではなくテレワークを実施していくことが、企業にとって生き残りの術であることは明らかだ。そこで、今回はテレワークの実施に必要不可欠ともいえる「フリーアドレス」のポイントを解説する。 - 総務のテレワークを巡る「衝撃の数字」 フルリモート実現の急所とは?
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。総務のテレワークに関する調査で明らかになった衝撃の数字を基に、総務のフルリモートを実現するための急所はどこにあるのかを解説する。 - もうオフィスは不要なのか、それともまだまだ必要なのか 総務から考えた「結論」
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。いま、急激なテレワーク導入により、一部で「オフィス不要論」が出始めている。中にはコストなどの面から、オフィスを廃止しフルリモートに移行する企業も出てきた。総務業務との結び付きが強いオフィスを巡るテーマを、豊田氏はどう考えているのか? - テレワークで剥がれた“化けの皮” 日本企業は過大な「ツケ」を払うときが来た
テレワークで表面化した、マネジメント、紙とハンコ、コミュニケーションなどに関するさまざまな課題。しかしそれは、果たしてテレワークだけが悪いのか? 筆者は日本企業がなおざりにしてきた「ツケ」が顕在化しただけだと喝破する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.