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マツダMX-30で1800キロ走って見えたもの池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/8 ページ)

そもそもMX-30に与えられた使命は、電動化の牽引役だ。年明けにはいよいよ国内でもEVが出る。これは以前プロトタイプに乗ったが、スーパーハンドリングマシーンと呼べる出来になるはずである。次の時代に向けた実験的取り組みは、全てこのMX-30がテストベッドになる。そのクルマの基礎素養がこれだけ好もしいものであったことで、期待は高まろうというものだ。

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フリースタイルドア

 そのおかげで、MX-30の前席空間は開放感が高い、広々としたものに仕上がっている。リヤにも新しいアプローチを加えた。クーペ的スタイリッシュさを求める昨今のクルマは、リヤの乗降時の頭入れがかなり厳しい。後方で下がってCピラーと一体化していくところを頭が通るのだから、それは止む無しである。

 そこにマツダが持ち出したのがフリースタイルドアである。観音開きのドアでは物理特性的に乗降時の導線が変わる。Bピラーの位置を頭が通過するので、アーチ状になったルーフの最も高いところを通ることになり、乗り降りがしやすくなる。


RX-8以来久方ぶりのフリースタイルドアを持つMX-30。ただこのドアのおかげでいろいろと先入観を持って見られる運命だ

 フリースタイルドアのおかげで、MX-30のリアシートは補助席のようにいわれることが多いが、乗降時にはむしろ優れた特性もあり、室内空間も十分以上に広い。今回、長距離ドライブの間に何度もリアシートに座ったが、筆者の巨体ですら、それは補助席などと貶(おとし)められる空間には感じなかった。蛇足ながら、リヤのサイドウインドーは小さいながら着座した時の視線と上手く合致しており、想像するよりは閉塞感もない。

 もちろんデメリットはないわけではない。第一に隣のクルマと十分な間隔が取れないような場所でフロントドアを開け、さらにリアドアを開けると導線に2人の人間が交錯して使いにくい。構造的特徴を理解すれば、前席の人が先に乗り込んでしまうなり、クルマを出してから後席に乗り降りするなりという対処法もあるが、そこに工夫が必要であることは事実である。一方で荷物や上着をリアシートに放り込む時はリアドアまで迂回(うかい)する必要がなく、運転席のドアを開けた位置からそのままアプローチできる。よくある話だが、否定したい気持ちでみればいくらでも否定する要素は見つけられるし、肯定する気持ちであれば、いくらでも工夫のしようはあるのである。


実は広く着座感の良いリヤシート。最近のクルマにしてはトルソアングルがしっかり立っていて、そこも正しい

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