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宙に浮いた「TikTok」の運命は? まとまらない買収交渉の顛末:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
人気アプリ「TikTok」の米事業売却が合意に至らず、中途半端な状態だ。安全保障リスクを理由に、トランプ政権が使用禁止や米企業による買収に向けて動いていた。このままだと新政権が判断することになる。日本でも禁止にはならないだろうが、リスクの可能性は知っておくべきだ。
今、米国は奇妙な期間に入っている。米大統領選が終わって勝敗が決まり、12月14日には各州で選ばれた選挙人による投票が行われて次期大統領が公式に決定する。
奇妙と言ったのは、米国では次期大統領が別人に変わると分かってから2カ月近く、政権移行期間があるからだ。その間、去りゆく大統領はなんだか中途半端で、ビジネスパーソン風に言うなれば転職前に有給休暇を消費しているかのような感じではないだろうか。
もっともトランプ大統領の場合は、まだ敗北を認められないようで、支持者らに向けて選挙が「不正であり、勝者は自分だった」と主張し続けている。とはいえ、特に選挙結果を左右した激戦州では50人近い判事らがトランプ陣営の主張に「証拠がない」と却下しており、結果が覆る可能性は低い。
とにかく、そんな米国では、トランプ政権のある重要方針が「宙ぶらりん」状態になっていて多くの人たちをモヤモヤさせている。それは、人気動画投稿アプリ「TikTok」をめぐる動きだ。
そこで、TikTokは今どんな状況で、これからどうなってしまうのか、また日本で使えなくなることがあるのか、といった疑問について見ていきたい。日本でも1000万人近いユーザーがいるTikTokの運命はどうなってしまうのか。
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