ビジネスパーソンも標的 高度技術を狙う、中国「ハニートラップ」の実態:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
米国などで中国によるハニートラップが話題になっている。古典的だが、今も駆使されており、知的財産を狙って企業関係者を標的にするケースも多い。国際ビジネスの場やSNS、アプリなど接触される危険は多い。自分もターゲットになる可能性があると認識しておくべきだ。
米国で暴露された、中国人女性の不穏な行動
米国のニュースは、近年米国で人気のあるオンラインメディア「AXIOS(アクシオス)」がスクープした。
記事によれば、2011年から15年の間に、中国人女性が中国情報機関のスパイとして、米政治家にハニートラップを仕掛けていたという。
中国人女性の名は、クリスティーナ・フェン(参考リンク)。中国のスパイ機関である中国国家安全部(MSS)が、フェンに中国から指示を出し、彼女はその指示に従って動いていたという。
フェンの工作は例えばこうだ。カリフォルニア州を拠点にして同州選出のエリック・スワルウェル下院議員(民主党)の資金集め活動に参加し、14年に接触を始めた。そこからフェンは同議員とかなり仲良くなり、しばらくすると「知り合い」をスワルウェルの事務所にインターンとして送り込んだりもした。
実はFBI(米連邦捜査局)も、フェンの動きには気がついており、警戒をしていた。結局、これ以上フェンが近づくと危険だと見た当局は、スワルウェルに警告を伝えている。するとフェンも何かを察して、15年半ばには米国から出国したという。
ただフェンは、それ以前にも政治家を狙って2度、ハニートラップに成功していた。どちらも、中部州の市長。肉体関係を持つなどして接近していたことが分かっている。フェンはこれ以外でも、大学やその他の政治的なイベントに参加し、政治家や著名人と接近する手口を使っていた。
アクシオスの記事によれば、フェンは日本でも慰安婦問題などでよく知られているカリフォルニア州選出のマイク・ホンダ下院議員などと一緒に写っている写真もFacebookに投稿していた。
こうした経緯もあって、FBIは19年、中国によるハニートラップなどを阻止するための捜査チームを立ち上げている。これこそ、ハニートラップが今も問題視されている証左だといえるだろう。中国の動機は、政治的に影響力のある人に近づいて、情報を得たり、影響力を与えたりするという目的だった。
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