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電通「過労自殺」事件から5年 “命を削る働き方”がはびこる社会は変わったか:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/4 ページ)
電通の新入社員が過労自殺した日から5年。コロナ禍で在宅勤務が広がり、残業が減った企業がある一方、エッセンシャルワーカーは異常な働き方を強いられている。「人」をコストとして見る発想がある限り、長時間労働はなくならない。“不便”を受け入れることも必要だ。
コロナ禍で顕在化した、エッセンシャルワーカーの働き方
そして、今、この時間も、医師、看護師、保健師さんなどの医療従事者たちが長時間労働を課せられていることはご承知の通りです。
高橋さんの母親は、「労災認定されても娘は二度と戻ってこない。過労死等防止対策推進法が制定されたのに、過労死は起きた。命より大切な仕事はない」と訴えていましたが、身を粉にして仕事をしている人たち、休まずに仕事をしなければならない職業に就いている人たちがいることが、コロナにより顕在化したのです。
コロナ禍で起きている全ての問題は、コロナ前の社会に内在していたものです。社会の仕組みに無理がきかなくなっていたにもかかわらず、目をつむっていたことが噴出したにすぎません。
医療・福祉、交通・運輸などの現場は慢性的に人手不足でしたし、公務員もしかりです。何かと批判の対象にされがちな公務員ですが、日本の公務員の1人当たりの仕事量は他の先進国に比べ圧倒的に多く(政府全体の歳出を公務員数で割った数で比較)、中央政府の人件費が中央政府全体の支出に占める割合も低いのです(北村亘氏ら「2019年官僚意識調査基礎集計」より)。
戦前の日本は公務員が多く官僚の政治的権力も強い「官僚天国」だったため、他国より早く財政赤字が深刻化し、行政改革をいち早く進めた結果、人口に対し公務員が少ない国になってしまったのです。
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