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学生需要は急落したのに、なぜカシオの「電子ピアノ」は売れているのか対前年比120%(4/5 ページ)

新型コロナの感染拡大によって、多くの企業が売り上げを落とした。そんな中でも、「あれ? このアイテムが売れているの?」と感じる商品がある。電子ピアノだ。カシオ計算機の電子ピアノは苦戦していたのに、なぜヒットしたのか。その秘密に迫ったところ……。

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上半期に最も売れた「電子ピアノ」

 19年2月に発売した電子ピアノ「PX-S1000」は、奥行きが232ミリと業界最短、体積は従来製品より65%削減し、置く場所を選ばないのが最大の強みだ。従来の凹凸タイプのボタンではなく、フラットなタッチパネルとBluetoothを採用し、IT慣れした20〜40代が好む操作性を意識した。

 本体のスピーカーからスマートフォンやPCの音楽を流すことも可能で、音楽に合わせての演奏も楽しめる。カラーバリエーションは、ブラック・ホワイト・レッドの3色。これまではブラック・ブラウンが主流だったが、若い層を狙って鮮やかで目を引くレッドを追加した。


幅の狭いデスクにも置ける電子ピアノ「PX-S1000」

 従来の電子ピアノに比べ、圧倒的にシンプルでスタイリッシュな点が評価され、世界3大デザイン賞の一つに数えられる「レッド・ドット・デザイン賞」やデザインが優れた工業製品に送られる「 iF DESIGN AWARD」を受賞した。

 調査・市場分析を行う株式会社BCNによれば、20年上半期に最も売れたのが、このPX-S1000だった。市場想定価格は5万7800円前後(税別、以下同)と趣味にかける費用としてはやや高価だが、一律10万円の給付金が購入の後押しとなり、需要が伸びた背景もあるようだ。


屋外での演奏にもピッタリの電子キーボード「CT-S200」(市場想定価格:3万3000円)

 19年9月に発売した電子キーボード「CT-S200」は、アクティブに楽器演奏を楽しみたい層に売れている。約3.3キログラムと軽く、本体上部に取り付けられたグリップにより、どこにでも持ち歩くことができるのが一番の特徴だ。

 ボタンの数を1桁まで減らしシンプルな使い勝手を実現しながらも、400もの音色を内蔵。1万6500円前後と初心者が手を出しやすい価格帯も購入のキッカケになっているようだ。

 販売チャネルは、やはりオンラインが急増。全体の35%を占め、前年比11%増となった。同社では、楽器が売れ始めた4月ごろからECショップへのアプローチを強化。楽器のあるライフスタイルをイメージさせる画像や動画を提供するほか、自社サイトでARを導入。スマートフォン、またはタブレットで専用サイトにアクセスすると、実際に部屋に置いたときのサイズ感が把握できる。


カシオ計算機が提供するデジタルピアノの部屋置きシミュレーション(AR)のイメージ

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