2020年のキャッシュレス業界 けん引したのは結局クレカ(1/5 ページ)
20年のデータが出そろっていない段階ではあるものの、18年以降にキャッシュレス決済比率を押し上げたのはクレジットカードの利用増にある。PayPayが100億円規模の大規模キャンペーンを立ち上げ、いわゆるキャンペーン合戦によるシェアの奪い合いが激増したが「一番利用が多いPayPayでさえ全キャッシュレス決済の1割にも満たない」という声を聞いている。
政府が2018年4月に発表した「キャッシュレス・ビジョン」によれば、もともと「未来投資戦略 2017」で設定されていた「今後10年間に、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す」という目標を前倒しし、25年開催の大阪・関西万博に向けて40%の達成目標とすることが宣言されている。さらに将来的には世界最高水準のキャッシュレス決済比率80%を目指すとも宣言されており、必要な環境整備を進めていくことが目標に掲げられた。
現実はどうだろうか。「恣意的なデータの採り方をしている」との批判もある政府のキャッシュレス決済比率の数字だが、経済産業省が公開している資料によれば19年時点のキャッシュレス化比率は26.8%で、当初「未来投資戦略 2017」が発表された時点での参考値だった16年の「20.0%」の水準から3割以上増えている。
最新のデータについては、野村総研(NRI)の社会システムコンサルティング部 副主任コンサルタントの島村安俊氏が「2020年上半期の集計で28.5%」との推計値を出している。新型コロナウイルスの影響を加味しても、これまでの推移の平均からみれば20年時点で30%前後の水準に達する可能性は高く、筆者自身の考えでも、政府や業界関係者らがキャッシュレス普及に向けた施策を継続する限り、25年時点で40%の水準に達する可能性は高いとみている。
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