アサヒビール、度数0.5%の“微アルコール”投入 飲まない層にも新しい選択肢を提案:潜在ニーズを開拓
アサヒビールは、低アルコール商品を強化する。3月にはアルコール度数0.5%のビールテイスト飲料の新商品を発売する。度数1%未満を「微アルコール」と定義。2025年までに度数3.5%以下の商品構成比を、19年の3倍強となる20%に引き上げる。
アサヒビールは、低アルコール商品を強化する。生活スタイルの多様化に伴い、お酒の新たな飲み方を提案。3月にはアルコール度数0.5%のビールテイスト飲料の新商品を発売する。度数1%未満を「微アルコール」と定義し、商品を投入していく。2025年までに度数3.5%以下の商品構成比を、19年の3倍強となる20%に引き上げる。
20年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、飲食店向けなどの業務用ビールの需要が縮小。ビール類の販売金額は前年比15.7%減だった。特に、発泡酒や新ジャンルと比べてビールの落ち込みが大きく、主力ブランド「スーパードライ」の販売数量は22.0%減少した。
21年はビール類の巻き返しを図る取り組みと共に、新たな提案にも注力する。その一つが、「スマートドリンキング」への取り組みだ。アルコールの有害な飲み方を減らそうとする動きが世界的に大きくなっているほか、新型コロナの影響で個々の仕事や生活のスタイルが多様化。同社は「さまざまな人々の状況や場面における“飲み方”の選択肢を拡大し、多様性を受容できる社会を実現する」と掲げ、“飲まない”層を含む多様なニーズに合ったアプローチを強化する。
その第1弾として投入するのが、アルコール度数0.5%のビールテイスト飲料「アサヒ ビアリー」だ。3月30日に首都圏・関信越の1都9県で先行発売し、6月29日に全国発売する。
アサヒ ビアリーは100%ビール由来の原料を使用。微アルコールでも「麦のうまみとコク」を感じられるように、約3年半かけて開発したという。ノンアルコールの「ドライゼロ」との大きな違いは製法。ドライゼロが調合技術によってビールに近い味を作っているのに対し、ビアリーはベースとなるビールを醸造した後にアルコールだけを抜き取る技術によって製造している。
1月6日に開催した事業方針説明会で、塩澤賢一社長は「これまで、お酒を飲める人を中心とした商品を展開してきたが、これからは飲めない人やあえて飲まない人の潜在ニーズを掘り起こしたい」と語った。
同社によると、20〜60代人口約8000万人のうち、半数の約4000万人は「飲めない人」と「飲めるけど飲まない人」。特に20〜30代の若年層でその比率は大きくなるという。マーケティング本部長の松山一雄専務は「全ての大人の方をお客さまと捉えることも可能になり、ビジネスのポテンシャルも大きい。『シーンで飲み分けたい』『少しだけ気分を上げたい』など、これまで満たされてこなかったニーズに応えたい」と説明した。
スマートドリンキングの他の取り組みとしては、6月までに商品の純アルコールグラム量をWebサイトで開示する方針も示している。
コロナ禍でお酒の飲み方も大きく変化し、自宅で自分に合ったものを好きなペースで飲むニーズは拡大している。あまりお酒を飲まない層に対しても選択肢を増やす提案によって、新たな需要の開拓を目指す。
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