“熱狂なき価格上昇”のビットコイン、いち早く“バブル超え”を果たせた理由:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)
約3年前、ビットコインは“終わった”と思われていた。しかし、足下ではそんなビットコインバブルの最高値230万円台をさらに100万円以上も上回り、1BTC=382万円で推移している。しかし、今年のビットコイン相場では、17年末から18年初頭に見られたような熱狂がそこにはない。熱狂なき価格上昇により、ひっそりと高値を更新し続けている。
約3年前、ビットコインは“終わった”と思われていた。しかし、足下ではそんなビットコインバブルの最高値230万円台をさらに100万円以上も上回り、1BTC=382万円で推移している。かつてのバブル相場では、街中で仮想通貨(暗号資産)関連の広告が頻出し、テレビは仮想通貨取引所のCMで埋め尽くされている状態であった。しかし、今年のビットコイン相場では、17年末から18年初頭に見られたような熱狂がそこにはない。
熱狂なき価格上昇により、ひっそりと高値を更新し続けているのが現状なのだ。
それでは、ビットコインが足元で再び注目されている背景はどのようなものがあるのだろうか、今回は「コロナと金融政策」という観点から確認していこう。
ビットコインがコロナで上がった背景
ビットコインは「通貨発行権を有する国家が存在しない通貨」であるという特色がある。そのため、中央銀行のような組織が存在せず、ビットコインの総供給量を増やしたり減らしたりするといった「金融政策」ができない。
一方で各国の法定通貨におけるマネーサプライは、歴史上一貫して右肩上がりとなっている。とりわけ、米国はコロナ禍で最も緩和的な金融政策を行った国のひとつだ。米国のマネーサプライ(M2)は2020年に20兆ドルに迫る勢いとなっている。
中央銀行が緩和的な金融政策を取ることで法定通貨の供給量が増加するなか、総供給量が一定のビットコインは相対的に希少性が高まる。各国がこぞって金融緩和に乗り出したのは、為替相場の国際的なバランス、ひいては世界経済の均衡を保つためだ。
自国のみが緩和をしなければ、自国の過度な通貨高を招きかねない。とりわけ輸出に強い企業、国民を苦しめてしまう。したがって、世界的なコロナによる「不況下の緊縮」という金融政策を取ることは教科書的には“あり得ない”。しかし、ビットコインには守るべき国や企業、国民は存在しない。そうすると、ビットコインは法定通貨と比較して相対的に緊縮的、つまり世界経済の不調時に通貨高になるという、“あり得ない”メカニズムが組み込まれている。
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