調査リポート
就職氷河期世代、非正規で働く半数が「正社員」を希望 “年齢の壁”の不安も:就職につながる支援を(2/2 ページ)
ディップが就職氷河期世代に当たる非正規就業者と無職者の就業意向に関する調査結果を発表。回答者の約5割は正社員としての就業を希望している。就職に当たっては年齢が壁になっていると感じている人も多かった。
受けられるとうれしい就業支援は?
政府は就職氷河期世代に対する支援策を打ち出している。就職活動をする中で「受けられるとうれしい支援がある」と回答した人は56.5%を占めた。具体的な支援としては「職業あっせん先での就業体験・研修」(22.7%)、「職業あっせん先の見学」(21.8%)、「応募書類作成」(20.2%)が上位に挙がった。就職に直接つながる、職業あっせん先による支援が多く求められている。
国や自治体による支援について印象や希望を聞くと、「興味関心はない」が37.7%と最多だった一方、「どのような支援があるのかわかりやすく知りたい」が35.5%、「支援内容を具体的に教えてほしい」が29.7%と、支援内容に関心を持っている人も約3割いた。また、正社員として働く希望がある人に絞ると、「どのような支援があるのかわかりやすく知りたい」が41.5%で最多となった。
調査は2020年11月25日〜12月1日にインターネットで実施。35〜54歳の有期雇用就業者(学生を除く)または無職の求職者1667人の回答を集計した。
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