倒産件数が2年ぶり「減少」、支援策が下支え 新型コロナ関連倒産は792件:旅行、飲食関連でコロナ禍が影響(2/2 ページ)
東京商工リサーチが発表した全国企業倒産状況によると、2020年1〜12月の負債1000万円以上の企業倒産件数は前年比7.2%減の7773件。2年ぶりに前年を下回った。一方、新型コロナ関連の倒産は792件に達し、旅行やアパレル関連などの大型倒産も目立った。
主な大型倒産は、自動車部品製造のダイヤメット(負債額577億9000万円)、旅行業のホワイト・ベアーファミリー(同278億円)、航空運送業のエアアジア・ジャパン(同217億円)、ゴルフ場経営のザ・クイーンズヒルゴルフ場(同168億8400万円)、ホテル・リゾート運営受託のWBFホテル&リゾーツ(同160億円)、アパレル製品販売のレナウン(同138億7900万円)など。新型コロナによる販売不振などの影響を受けた旅行・観光関連やアパレルの大型倒産が見られた。
新型コロナが幅広い業種に影響
従業員数別にみると、「5人未満」が最多で4.9%減の5901件。「5人以上10人未満」は13.8%減の980件だった。10人未満は6881件となり、全体に占める割合は88.5%。構成比は30年間で最も高い水準となった。
倒産に伴う従業員の被害状況では、合計の被害者数が3.9%減の4万723人となり、2年ぶりに減少したが、2年連続で4万人を超えた。産業別では「サービス業他」が15.2%増の1万2968人で最多。「製造業」は6.9%減の8181人、「小売業」は3.8%増の5937人だった。従業員数の多い事例では、接骨院経営のMJG(従業員1000人)、WBFホテル&リゾーツ(同968人)などがあった。
新型コロナ関連の倒産は792件。外国人観光客の需要消失や外出自粛などにより、飲食業や宿泊業、アパレル関連のほか、冠婚葬祭や音楽教室など幅広い業種に影響があった。東京商工リサーチは「新型コロナ関連倒産は、もともと業績不振で財務基盤が脆弱な中小・零細企業が多い。こうした企業にコロナ禍の先行きが見通せない中、売上減少が続き、資金繰り支援、助成金・給付金の効果も持続せず、息切れが表面化してきている」と懸念を示している。
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