大学運営や受験産業に影響大 日本の「難関」大学が減る理由:偏差値(3/4 ページ)
日本の「難関」大学は減っていると筆者は主張する。大学運営や受験産業にも大きな影響を与える事態だ。その理由とは?
「難関」大学に入りやすくなった
これは、あくまで“全員”が大学に進学したいと思った場合の数字だ。大学に行きたい、大学で学びたい希望者が、現在の水準である50%と仮定してみるとどうか。世代の人口との割合を表したのが以下の図である。
難関名門大学に入れたのは、第2次ベビーブームで偏差値65に相当する人達で、全体のトップ5.3%。大学進学希望者の19人に1人だ。
それが20年の受験世代に関しては、偏差値62と「難関」のハードルを下回る。全体の9.3%。つまり、11人に1人は難関有名大学に入り込めるようになっているのだ。
最近生まれた世代(19年生まれ)に至っては、このままの状況が続くと、偏差値61で入れるようになる。
有名大学は、明らかに「難関」ではなくなっている。
では、近年評価を高めている明治大学などを含めた、「有名大学」ではどうだろうか?
前述の難関有名大学に、関東での台頭が著しい明治大学を含むMARCH(青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)、関西では、関関同立と同列に扱われる関西学院大学、関西大学の定員を加えた。すると、約9.1万人になる(実際の合格者数でいうと、14万〜15万人になると見られるが、真水である定員数を使う)。
第1次ベビーブーム世代、第2次ベビーブーム世代では、実際の定員はもっと少なかったが、人口が多いだけに偏差値がそれぞれ68、67となる。有名大学に入ることも「難関」だったことが伺える。
名目値とは別に“現実”の進学率から見てみた数値では、次のようになる。
世代人口が多かった第2次ベビーブームの世代まで、有名大学に入ろうとすると、偏差値63が必要となる。難関大学に近い学力が求められていた。
20年の受験世代にとって、有名大学に入る難易度は偏差値60。6.5人に1人は合格できる計算だ。
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