イーロン・マスクも脱出 “最先端の街・シリコンバレー”は過去のものとなるのか:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
米IT業界の象徴だったシリコンバレーから、有名企業や経営者が離れつつある。コロナ禍によるテレワークの普及に加えて、シリコンバレーのリベラルな空気に違和感を持つ経営者などが増えているからだ。シリコンバレーは“過去のもの”となっていくのか。
見たことがないレベルの空室率に
こうした動きから、現在、シリコンバレーでは空室率が16.7%になっており、この数字はここ10年で見たことがないレベルだという。さらに賃料も、1年前から27%も下がっている。売り物件も増えており、不動産業者への問い合わせはサンフランシスコ周辺から引っ越す相談のケースがかなり増えているという。
米ケーブルチャンネルのCNBCの取材に応じた、シリコンバレーからフロリダ州マイアミに移住したある起業家は、「ここのほうが人はハッピー。1日が終わって人と会っても、彼らは笑顔でいる。サンフランシスコならそんなことはあり得ないね」と語っている。
またニューヨーク・タイムズ紙によれば、Facebookの「リービング・カリフォルニア(カリフォルニアを去ろう)」というページには3万3000人の会員がいるという。さらに「ライフ・アフター・カリフォルニア(カリフォルニア後の生活)」というページには5万人以上の会員がいるらしい。コロナ禍を背景に、シリコンバレー周辺から脱出する人たちが少なくないという記事もよく見かけるようになっている。
もう流れは、「脱シリコンバレー」ということなのだろう。
もちろん大手はまだシリコンバレー周辺から離れずビジネスを続けているが、それでも、特筆するほど多くの企業がシリコンバレーを後にした。もっとも、これまでシリコンバレーに企業などが集中しすぎていたため、それが分散されつつあるということで、「普通」に戻りつつあるのかもしれない。イノベーションの象徴だったシリコンバレーが新たな次元に入っている。
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