イーロン・マスクも脱出 “最先端の街・シリコンバレー”は過去のものとなるのか:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
米IT業界の象徴だったシリコンバレーから、有名企業や経営者が離れつつある。コロナ禍によるテレワークの普及に加えて、シリコンバレーのリベラルな空気に違和感を持つ経営者などが増えているからだ。シリコンバレーは“過去のもの”となっていくのか。
シリコンバレーは“過去のもの”となるのか
米国ではバイデン政権がスタートした。これからGAFAやシリコンバレーのIT業界に対してバイデン政権がどんな対応をしていくのか、ビジネスパーソンにとっても関心事であろう。GAFAなどは大統領選ではバイデンを支持してきたのだが、独占禁止法違反や課税、コンテンツ規制など、ここのところ特に厳しい当局の姿勢が大きく変わることはないだろう。
バイデンは米国通信品位法の230条(ネットのコンテンツやSNSなどの投稿に対して、一部例外を除きSNS企業やプロバイダーに法的責任はないとする法律)の撤廃を主張しているし、民主党内では、GAFAなどの解体論や規制強化を主張する人たちもいる。GAFAと蜜月だったオバマ時代に副大統領だったバイデンだが、大統領になった今、GAFAをめぐる環境も様変わりしている。
そうした政権からのプレッシャーも強まれば、IT企業のパワーがそがれ、ますますシリコンバレーは過去のものとなるかもしれない。2021年、イノベーションの象徴だったシリコンバレーから離れていく米テック業界には注目だ。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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