PayPayマネー? ボーナス、さらにライト? なぜ電子マネーの残高は複雑なのか(2/3 ページ)
そもそもなぜ似たような残高やポイントに、複数の種類があって期限などが異なるのだろうか。また、どうして手間のかかる本人確認が必要な場合と、必要でない場合があるのだろうか。
もう一方のPayPayマネーライトは、いわゆる電子マネーだ。商品券やテレホンカードなど、また交通系電子マネーのSuicaもこの仲間に入る。法的には、資金決済法で定められた「前払式支払手段」にあたる。
PayPayマネーとの違いはクレジットカードからチャージできること。また、銀行口座への出金ができないことだ。Suicaは解約時に残高の払い戻しが可能だが、これは例外的な扱いになる。また、口座に出金できないことからマネーロンダリングの可能性が低く、本人確認も必須ではない。また未使用残高の2分の1以上を供託する必要もある。
いわゆる送金について、法的には「移転の明確な制約はないが、元々譲渡制限を付けているサービスがほとんどで、従来は移転できないものが多かった」(落合弁護士)。また、入金額の上限も規制されていない。
3つ目のPayPayボーナスは、いわゆる企業発行のポイントにあたる。PayPayでは、決済額の一定率を還元する際に付与している。法的には、ユーザーが対価を払って得たかどうかが、基準になる。銀行口座からのチャージやクレジットカードからの支払いのように、対価を払えば資金決済法の規制対象になるが、「おまけ」や「景品」として提供されるなら、規制適用外だ。
つまり「購入できない」のがポイントの特徴だ。資金決済法で規制されていないため、供託は必須ではなく、ほとんどの企業では自社内に引当金を積むことで対応している。PayPayでは「前払式支払手段の一種で譲渡ができないもの。無償発行なので、供託金は積んでいない」としている。つまり、企業が倒産した場合はポイントは消滅してしまう可能性もあるわけだ。
一方で、割引や景品として提供されるものであるため、景品表示法(景表法)では規制される。例えば、大規模なポイント還元の際に「20%還元」がうたわれることがあるが、この20%以内を定めているのが景表法になる。そのほかには特段ポイントを規制する法律はなく、他人への譲渡(いわゆる送金)可否も事業者の判断となる。
前払い支払手段の電子マネーとは違い、投資信託などの価格に連動して増減する疑似投資も可能になっている。PayPayの場合、「PayPayボーナス運用」という名称でサービスを提供している。dポイントや楽天ポイントでも同様のサービスがある(「ポイントはおまけか資産か?」参照)。
最後のPayPayボーナスライトは、PayPayボーナスに有効期限を設けたものだ。PayPayの場合、キャンペーンなどの特典で付与することが多い。楽天ポイントでいえば「期間限定ポイント」、dポイントでいえば「期間・用途限定」にあたる。
有効期限は利用者には制約となるが、発行する企業側にはメリットもある。失効した分は引当金を積む必要がないだけでなく、利用されると見積もった分だけを引き当てればいいからだ。過去の実績から、ポイントの半分が使われずに失効しているようなら、引当もそれに応じて減らせるということになる。
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