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なぜ次々と新ジャンル? バルミューダが社長一本槍から脱却目指すワケ家電メーカー進化論(5/6 ページ)

家電メーカーが絶え間なく進化を続ける秘訣を紹介する「家電メーカー進化論」。初回は、20年12月に東証マザーズへ上場を果たしたバルミューダだ。新型クリーナーの開発工程から見るスピード感とこだわり、株式上場の目的と今後について、代表取締役社長の寺尾玄氏にうかがった話を全2回でお送りする。

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重量はあっても重さを感じない秘密

 BALMUDA The Cleanerの本体重量は、実は約3.1キログラムあり、決して今の時代の掃除機としては軽量といえないが、実際に掃除をしてみると氷の上をツルツルと滑るようにヘッドが動くため重さを感じることはほとんどない。今までにない「自由自在」な掃除機という発想が開発会議で出たとき、寺尾社長は「これはいけるだろう」と感じたという。


一般的な掃除機が回転ブラシを1本のみ備える中、BALMUDA The Cleanerは2本のブラシで独特の浮遊感を実現。ブラシが2本あることにより、ゴミ清掃能力も格段に高いという

 ただしキーメッセージである「自由自在」を実現するホバーテクノロジー以外の部分では、迷走もあった。例えば、開発初期の段階では紙パック式を採用していたという。これは、紙パック式のほうが排気がきれいで軽量を実現でき、吸引力が持続するといったさまざまなメリットがあるためだ。とはいえ、現在の掃除機のトレンドはサイクロン式であり、紙パック式は絶対に必要な機能ではなかったことから、開発途中でサイクロン式に変更された。

 そして驚くべきは、紙パックからサイクロン式に変更することで伸びた開発期間は1カ月半程度。ここまで大きな変更をこの短時間で実現したのは、大手メーカーではないバルミューダこそのスピード感だろう。


もうひとつ、開発部隊が最後まで悩んだ点が「ハンディクリーナー」としても利用できるようにするかだ。当初は、フロア専用で開発を進めていたが、ハンディでの利用シーンも多いとの社内からの声もあり、最終的には「車内清掃にも使いたい」という寺尾社長の意見により採用となった。製品開発で迷った場合、最終的にはすべての開発工程に関わっている寺尾社長の意見が採用される。バルミューダにおける社長の影響力の強さがよくわかるエピソード

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