消費のトレンドが変化 コロナ第一波と現在の第三波は何が違うのか(2/2 ページ)
2020年の消費動向をまとめたナウキャストの「JCB消費NOW」のデータによると、コロナ第一波で大きく消費が落ち込んだ5-6月と、11月以降の第三波では、消費の傾向が違ってきている。
コロナとGo Toに翻弄された旅行
旅行は最もコロナ禍で影響を受けた業種の1つだ。4−5月の第一波の際には90%近い減少となり、キャンセルが急増した。しかしその後、10月に向けて急速に回復している。「9月末に東京がGo Toの対象になったことが大きかった。10月と11月では前年に迫るくらいの動きを示した」(辻中氏)
しかし12月以降、第三波の中で再び下落局面を迎えている。
伸びたECとコンテンツ配信 しかし構造は異なる
コロナ禍で非常に好調となったのが、ECとコンテンツ配信だ。第一波の頃から好調が継続しており、5月には昨年対比で48.6%増を記録した。しかし、ECとコンテンツでは今後の傾向が異なる。
「足元の第三波でも強い伸びが期待されるが、ECはそれほど強い伸びではない。一方、コンテンツ配信はここに来てさらに強い伸びを示している」(辻中氏)
この理由は、伸びの構造を分解すると浮かび上がる。ECでは、1人あたりの消費金額が5月に大きく伸びた。一方のコンテンツ配信では、金額の増加ではなく利用者数の伸びが増加の理由だ。「コンテンツ配信の伸びは、旅行が減速したタイミングや娯楽が減速したタイミングと符合している。帰省する代わりに、Netflixを見て過ごそうという人も多かったのではないか」(辻中氏)
リベンジ消費の行方
コロナ収束後に、これまで我慢していた分の消費が活発化するかどうかも注目される。これはペントアップ需要(繰越需要)や、リベンジ消費などといわれ、旅行や外食などのコロナで大きく落ち込んだ業態にとっては期待される動きだ。一方で、映画館ではなくコンテンツ配信、レストランでステーキではなく自宅で牛肉を焼くといった代替消費が定着し、消費者が満足してしまうと、ポストコロナでもオンライン系サービスの好調が続く。
メルカリや楽天などネット系の消費関連企業は、現在業績が好調だ。しかし、同じ伸びを継続できるかどうか。「一時的なEC活用に過ぎないとなると、ワクチンの普及に応じて外出を再開するとともに、改めてEC消費が元に戻る可能性もある。今後の注目点だ」(辻中氏)
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