日産、営業赤字予想1350億円縮小 収益改善とコスト減「着実に進んでいる」:固定費12%削減(1/2 ページ)
日産自動車は、2021年3月期の連結営業損益を2050億円の赤字とする業績予想を発表。前回予想を上方修正し、1350億円の上振れを見込む。事業構造改革で掲げる、販売の質向上や固定費削減が進んでいることを示した。
日産自動車は2月9日、2021年3月期(20年4月〜21年3月)通期の連結営業損益を2050億円の赤字とする業績予想を発表した。20年11月に公表した3400億円の赤字予想を上方修正。販売台数は前回予想を下回る見通しとなったものの、営業損益は1350億円の上振れを見込む。事業構造改革で掲げる、販売の質向上や固定費削減が進んでいることを示した。
「改革は順調に進んでいる」、固定費は12%削減
「(事業構造改革の)『Nissan NEXT』は順調に進んでいる」。同日オンライン開催した20年4〜12月期決算会見で、内田誠社長は強調した。前期に続き、21年3月期も赤字予想だが、20年10〜12月の3カ月間の実績では営業損益が黒字に転じた。収益改善に向けた取り組みの効果も少しずつ表れてきたという。
20年4〜12月期の連結業績は、売上高が前年同期比29.2%減の5兆3174億円、営業損益は1316億円の赤字(前年同期は543億円の黒字)、純損益は3677億円の赤字(同392億円の黒字)だった。
グローバル販売台数は24.8%減の278万台。収益力の回復に努める米国事業は、「過度に台数を追わない」(内田社長)方針もあり、台数は減っているものの、収益を見込める新型車「ローグ」が好調。10〜12月の1台当たりの販売価格は前年同期比5%増となり、販売奨励金の売上高比率も低下している。日本では、10〜12月の販売台数が前年同期を上回った。各市場への新型車投入やコスト削減によって、10〜12月期は271億円の営業黒字を確保した。
4〜12月の事業構造改革の進捗については、販売の質を高める取り組みによって、新車販売の1台当たりの収益が前年同期比1.7%改善。利益率が低いレンタルの比率や在庫の規模を低下させた。販売奨励金は、対売上高比率が0.7ポイント低下している。
また、固定費は約12%削減。計画では、今期の固定費を19年3月期と比べて3000億円削減することを掲げていたが、現状では「3300億円程度の削減になると見込んでいる」(内田社長)という。
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