「テレワーク7割」どころか、紙業務・サービス残業が横行の霞が関官僚 「与野党合意」で民間企業の模範となれるか?:20代総合職の3割が「過労死ライン」超え(4/4 ページ)
政府が要請する「テレワーク7割」だが、そもそも霞が関で働く官僚が達成できていない。それどころか、民間企業未満の過酷な働き方が昨今明らかになっている。その元凶ともいえる国会対応を巡る与野党合意で、民間企業の模範へと変わっていけるのだろうか。
一連の動きを受けて、早くにアクションを起こしたのは国民民主党の玉木雄一郎氏であった。同党は官僚との対面形式の質問取りを原則取りやめると宣言。玉木氏は1月18日の臨時両院議員総会で「国会の質問通告のレクはできるだけ早期に、書面かリモートですることを原則とする」と所属議員に要請したことが明らかになっている。
その報道を受け、今度は自民党の下村博文氏が「国民民主党は素晴らしい。見習おう」とメディアに発言し、今般の合意に至ったようである。まずはこういったところからオンライン化が着実に進んでいくことで、長時間労働是正への取り組みが一歩踏み出せたことは感慨深い。
42年ぶりの定員増も さまざまな取り組みが進む
他にも前向きな取り組みが数多く進展中であり、霞が関の働き方にも一筋の光明が見え始めた感がある。例えば河野大臣は、緊急事態宣言が発令された1月7日、「国会や閣議以外は自らもテレワークを実践する」と宣言し、早速議員宿舎内からメディアインタビューに応えていた。
また、これまであまりなかった中途採用にも各省庁が積極的な姿勢を見せ始めている。防衛省では19年末に史上初の中途採用募集を行ったところ、約1500人から応募があったことが注目された。この流れで、霞が関と民間企業の間で人材が相互に行き来する、いわゆる「回転ドア方式」を制度化する構想もあるという。デジタルに強い人材や、グローバルでビジネス経験を持つ民間人材が霞が関に集まれば、わが国の政治や外交にもプラスになることだろう。
そして21年度の予算編成では、1979年度以来42年ぶりとなる国家公務員の定員増員を行うことが確定。これまで減り続けていた人を増やさないと、働き方改革はできないとの判断によるものだ。
まだまだ現場ではアナログで煩雑な業務に忙殺されているが、コロナ禍が落ち着いても従前の状態に戻ることなく、ぜひ制度も実務も効率的に変革を進め、民間企業に範を示すレベルを実現いただきたいところだ。それによって官僚に時間的余裕が生まれ、現場の声を吸い上げ、政策に反映されることを祈念している。
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