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コロナで日経平均が3万円を超えても安易にバブルといえない理由:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/4 ページ)
日経平均株価指数は8日、2万9388円50銭を記録し、バブル期の1990年8月から約30年6カ月ぶりの高値を記録した。しかし、日経平均株価の仕組みからして、最高値である「3万8957円44銭」はいずれは更新されてしかるべきだ。1989年の日経平均と、2021年における日経平均は全く別の指数だからだ。
日経平均株価指数は8日、2万9388円50銭を記録し、バブル期の1990年8月から約30年6カ月ぶりの高値を記録した。
2020年6月の記事では、03年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行と同時に発生した株高、いわゆる「SARS相場」に言及した。結果的に、この度のコロナ禍においても世界同時株高が発生した。「パンデミック下での株価上昇」というアノマリーが、より一層説得力をもってきたようにも思われる。
次に意識される日経平均株価の節目は3万円である。仮に日経平均がこの節目を突破した場合、あとはバブル最高値の3万8957円44銭しか目立った節目が存在しない。さらに、この30余年にもわたる長期の相場低迷もあって、日経平均3万円時代から塩漬けになっているポジションもほとんど整理が進んでいると考えられる。長らく含み損となっていたポジションを買い値と同じ価格で売る、いわゆる「ヤレヤレ売り」のような動きが大きな売り圧力として作用することはあまり考えにくい。
日本中がバブルに湧いていた1989年12月29日、大納会でつけた3万8957円44銭が過去最高値となった。日経平均株価はその水準まであと1万円を切っている。コロナ相場が株式市場における「失われた30年」に引導を渡すことになるのだろうか。
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