沖縄の長年の課題「飲酒運転撲滅」と「運転代行業の適正化」 劇的に改善しそうな新サービスとは:待ち時間は60分から12分に(2/4 ページ)
Alpaca.Lab(アルパカラボ)が琉球大学と連携して開発した運転代行配車アプリ「AIRCLE(エアクル)」が、2020年8月のリリースから現在までにダウンロード数が1万弱に迫るなど、コロナ禍においても着実に利用者を増やしている。
車両の帰り道もビジネスチャンスに 月売上30万円増の業者も
エアクルでは位置情報を基に、登録業者から一括で「すぐに迎える車両」を即座に割り出すため、待ち時間「平均12分」という大幅な時間短縮を実現している。このことは業者にとっては多くの注文件数を受けられることにつながった。業者は注文1件につき一定の手数料を支払い、単価そのものは高くなってしまうものの、利用者は「とにかくすぐ来る」という利便性を重視するため、そこまで割高感がない。
新崎運転代行(沖縄市)の経営者でもあり、全国運転代行協会の新崎勝吉理事・県支部長は「5台ある随伴車は週末にはフル稼働で、電話注文だけで手いっぱいだと思ったんです」とエアクル導入前はその効果にピンと来ていなかったというが「ところがどっこいですよ」新崎理事は予期せぬメリットを発見した。「お客さんの目的地から事務所に帰る途中で、エアクルからのお客さんを乗せることができるんです」
これまでは事務所を起点にお客さんの元へ行き、降ろしたら事務所までただ“戻るだけ”だった。しかしその帰り道もビジネスチャンスに変わった。これで注文件数はエアクル導入前後で約15%は増えたという。「コロナ禍でお客さんも減っていますが、その代わりエアクルでお客さんに使ってもらっています」と喜ぶ。
エアクル導入で商圏を超えた営業も
別の恩恵もあった。運転代行サービスは大抵の場合、商圏がある程度限定されている。例えば、本島南部の那覇市に拠点がある業者は那覇市周辺でお客を乗せるし、本島中部の沖縄市に拠点がある業者は沖縄市周辺でお客を乗せる。しかし那覇市を中心に運行しているというある業者は「本島中部にいてもお客さんからの注文が来る」と思わぬ効果に驚いていた。
那覇市から沖縄市まで割と長距離の客を乗せた日のことだ。普段はあまりいることのない沖縄市。那覇の業者が沖縄市の人から電話注文を受けることはまずない。しかし「たまたま沖縄市にいる間に、エアクルを通して新しく注文が入って降ろすと、今度はまたその周辺で次のお客さんを乗せては降ろし、乗せては降ろしとできるわけですよ。これまでには考えられなかったことですよ」という、未体験のことが起きた。自分たちの会社の名が全く知られてないエリアで、次々とお客を乗せることができた。
この業者は4台で運行しており、月の売り上げが30万円ほど上がったという。「他の業者もどんどん加入してほしいですよ」
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