「すし店」の倒産、20年度は5年ぶり増加 前年度の1.6倍ペース:コロナ禍でインバウンド消失
東京商工リサーチによると、2020年度のすし店の倒産件数は、1月までの10カ月間で28件発生した。前年同期と比べて約6割増加。15年度以来、5年ぶりに増加に転じている。特に小規模事業者で、新型コロナウイルス感染拡大による影響が大きい。
東京商工リサーチによると、2020年度(20年4月〜21年3月)のすし店の倒産件数(負債1000万円以上)は、1月までの10カ月間で28件発生した。前年同期と比べて約6割増加。15年度以来、5年ぶりに増加に転じている。新型コロナウイルス感染拡大によるインバウンド需要の消失や外出自粛の影響を受けた。
すし店は近年、大手回転ずしチェーンの人気や外国人観光客の増加などにより、飲食業界でも好調な業態となっていた。倒産件数も16年度から4年連続で減少。19年度は20年間で最も少ない22件だった。
しかし、新型コロナの影響が業界全体に広がった20年度は、すし店の倒産も増加している。20年4月〜21年1月の件数は前年同期比64.7%増。5年ぶりに30件を上回る可能性も高い。
すし店の中でも大手企業は、持ち帰り商品の強化や非接触サービスの充実などによる対策を進めている。しかし、すし店は小規模な事業者が多い。春のイベントシーズンの需要もなかなか見込めない中、先行きが見通せない状況が続きそうだ。
倒産の内訳をみると、原因別では「販売不振」が前年同期比92.8%増の27件で、ほぼ全ての倒産の理由となった。また、資本金別では「1000万円未満」が25件、負債額別では「1億円未満」が26件と、小・零細企業の倒産が約9割を占めた。
地区別では、近畿地方が16件と最多。大阪府が6件、京都府が5件を占めた。次いで、関東地方の8件。東京都が6件だった。
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