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トルコ家電メーカーとの合弁へ海外家電事業を移管、日立GLSは何を目指すのか家電メーカー進化論(2/6 ページ)

日立グループで家電製品の開発販売を行う日立グローバルライフソリューションズ。2020年12月には、海外家電事業をトルコの家電大手アルチェリクとの合弁会社へ移管すると発表した同社は、何を目指しているのだろうか。“オープンな協創”をテーマに同社の描く未来を、取締役社長の谷口潤氏に聞いた。

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互いの強みを生かした補完関係を構築

 今回、日立GLSとアライアンスを組んだアルチェリクとは、世界8カ国に22の生産拠点を持ち、145以上の国や地域で家電製品やサービスを提供するトルコの大手家電メーカー。欧州では「ベコ」ブランドで大きなシェアを持ち、南アジアやアフリカなどにも製品を展開する世界的大企業だ。


日立GLSが合弁会社を設立するアルチェリクの概要(出典:20年12月16日開催の事業説明会資料

 今回設立が決まった新合弁会社は、日立GLSの海外向けブランドの家電の製造、販売、マーケティング、アフターサービスを行う。日立GLSの技術力とブランド力に、アルチェリク社の世界的な販売力を組み込むことでグローバルにおける売り上げ増を目指す。

 ここまでの内容では、日立GLSが自社による海外の販売拡大を諦めた形にも見える。これについて谷口社長は、「世界的な戦略を考えると、日立GLSだけで挑むのは経営効率の点で有効とは考えられなかった」とした。その理由として、白物家電は生活に直結しており、そのために世界各地域のニーズに合わせた製品開発、いわゆるローカルフィットが必要不可欠であることを挙げる。

 谷口社長は一例として「国土面積が小さく、都市化により狭い住宅が多いシンガポールの調理家電は、キッチンの流しの下に収納できることが重視される。一方タイは、シンガポールに近い国であるが、大きくてきらびやかな家電が好まれる」と解説。

 世界と向き合って商品を開発・販売するとなると、日立GLSが独自に全地域を網羅するより、地域的な補完性のある会社と協力する方が有効性が高いと判断したという。また、日立ブランドは東南アジアや中東に強く、アルチェリクは欧州やアフリカ、南アジアなどの地域に強い。まさに「地域的な補完関係のある会社」とのアライアンスを実現したといえる。


日立GLSとアルチェリクの合弁会社設立の発表(リンク

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